保育園に通っている子どもがインフルエンザに!
でも、我が家は共働き。
保育園に預けられなければ仕事を休まなければいけません。
インフルエンザとなれば1~2日では済まないですが、そんな長期休みをとれるアテは無し。
熱も下がったし保育園には秘密にして預けてしまえば…。
困るとそんな悪い考えも頭に浮かんできます。
けれどインフルエンザを保育園に報告しないのはまずいです。
だまって預けるなんてもってのほか。
今回はインフルエンザを保育園に言わないで子どもを預けることのリスクについて解説します。
インフルエンザを報告しないリスク
再び悪化することも
熱が下がっても油断できないのがインフルエンザです。
解熱後の半日~1日後に再び発熱する症状は珍しくありません。
これを二峰性発熱といいます。
落ち着いたように見えても様子見の期間が必要なのは、このような体調変化のリスクがあるからでもあります。
体調が急変したときに、インフルエンザの報告がなければ保育園でも適切な対応がとれるかはわかりません。
我が子を危険に晒すことになりかねませんよ。
他の園児にうつしてしまう
大の大人が気をつけていても感染するのがインフルエンザです。
予防が十分でない小さな子では感染確率が跳ね上がります。
たとえ熱が下がったとしてもウイルスは消えていないので感染リスクは残っています。
当然、うつされた園児は保育園を休まなければいけなくなります。
あなたと同じように働きに出るため保育園を利用しているので困るのは目に見えています。
さらに子どもからその家族を通して職場にも蔓延してしまうかも。
家族が電車に乗れば乗り合わせた人も危険です。
大事な約束を飛ばしたり試験を受けられなくなったりと、他人の人生を大きく変えてしまうかもしれません。
保育園のスタッフへの感染
もちろん保育園のスタッフにうつることもありえます。
ただでさえ、保育士の人手不足が叫ばれる昨今です。
スタッフ1人が欠けるだけでも、園内は大変な忙しさになることでしょう。
その結果、園児1人1人に十分な気を配れなくなるかもしれません。
そのせいで事故が起こったりしては取り返しが付きませんよ。
法的責任を問われるかも
インフルエンザの報告をしないで登園させて感染拡大させると、損害賠償を求められるかもしれません。
インフルエンザと診断されたにもかかわらず出勤し、同僚もインフルエンザにかかった場合、法的責任を問われる可能性はありますか。
(芝綜合法律事務所 牧野和夫弁護士の回答)
「意図的に他人へ病気をうつした場合に、傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立するかどうかですが、傷害罪は『人の身体を傷害した者』に適用され、病毒(インフルエンザ含む)を他人に感染させた場合にも成立する(最高裁1952年6月6日判決)とされており、可能性があります。また、意図的でないと認められても、過失により人を傷害したとして過失傷害罪(刑法209条1項、30万円以下の罰金または科料)となりえます。
『感染者がその日時にその場所に居て、その人に感染した』という因果関係の証明は難しいですが、もし証明できれば、不法行為による損害賠償を請求される可能性もあります」
病気をうつして傷害罪が成立した判例もあるんですね。
これは職場への出勤を例にしていますが保育園でも理屈は同じです。
インフルエンザを秘密にして子どもを預ければ裁判沙汰になり得るということ。
現実問題としては、ウイルスに名前が書いてあるわけではないので感染元を立証するのは難しいです。
裁判で有罪判決が出ることはマレでしょう。
しかし訴えられる可能性があることは肝に銘じておかなくてはいけません。
それに裁判ともなれば、いつ病院で診断されていつ登園したかを調査されます。
少なくともインフルエンザを報告しなかったことはバレる確率が高いです。
常識知らずと認定される
たとえ裁判沙汰にならなくても、インフルエンザを撒き散らす親は確実に常識知らずと認定されます。
やっていることはバイオテロですからね。
正面切って注意してくれるようならまだマシですが、実際には悪評は本人の知らないところで広がります。
一度ついた悪いイメージはなかなか払拭できません。
子どもが幼稚園・小学校にあがってもデンジャラスな保護者として距離をとられます。
最悪、村八分状態が続くことも…。
裁判よりこっちのほうがむしろ怖いです。
インフルを秘密にしていればバレない?
インフルエンザにかかっても黙っていればわからないのでは?
と思うかもしれません。
しかし不思議なもので、こういう秘密はたいていバレます。
インフルに限らず、そんなのどうやって知ったの?と言いたくなるような噂話が耳に入ることがありますよね。
悪い話ほどどこからか漏れ出すものです。
- 子どものおしゃべり。
- 病院の待合室での目撃。
- 受付で働いている人の目。
秘密の流出経路はいくらでもあります。
感染を広げるリスク、バレたときのリスク。
どちらを考えても秘密にしておくメリットはありません。
インフルエンザは何日休むの?
インフルエンザによる出席停止期間は学校保健安全法施行規則によって基準が設けられています。
保育園でもこのガイドラインに沿った規定があるところがほとんどです。
インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)にあつては、発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで。
保育園児は幼児の条件になるので
- 発症後5日経過
- 熱が下がって3日経過
の両方をクリアしてようやく登園できます。
ちなみに数え方は発症(解熱)した次の日を1日目にカウントします。
なので、どんなに早くても保育園に行けるのは発症してから6日後。
月曜日に発症したら日曜日が期間終了ということになります。
もちろん熱が下がるのが遅ければその分期間も延びていきます。
登園許可証は必要?
登園するのに医師の許可証が必要かは保育園によって異なります。
提出を求められることも多いので、インフルエンザにかかったらあらかじめ園に聞いておきましょう。
許可証をもらえるタイミングは出席停止がとける前日になると思います。
早く渡すとフライングで登園しないとも限らないので、医師としても先渡しはできないのです。
共働きならインフル時の対策を
正直なところ、共働きで一週間近く保育園をあてにできないのは厳しいですよね?
いざという時に慌てないためにも子どもを預けられるところを探しておくといいですよ。
一番は、クリニックに併設された病児保育施設を利用するのが安心でしょう。
インフルエンザのような感染症なら隔離ルームで預かってくれます。
また最近ではインフルエンザに対応できる病児シッターもありますよ。
インフル流行時期だと確実に預かってもらえるとも限らないので、複数のあてを見つけておくと心強いです。
まとめ
- インフルエンザは保育園に必ず報告
- 秘密で登園させるのは大きなリスクあり
- 秘密はたいていバレる
- 出席停止期間はおよそ一週間
- 病児保育施設をチェックしておくと便利
インフルエンザになったら絶対に登園させないでください。
うつしてしまったら大勢に迷惑が掛かるだけでなく自分にも跳ね返ってきます。
我が家だけ良ければいいという判断だけはやめてくださいね。