まだ誰も入っていないお風呂につかるのは気分がいいものです。
昔は「一番風呂はお父さんが入るもの」なんて言われていました。
貴重な一番風呂は一家の大黒柱である父親に入ってもらおう、という考え方です。
ところが今では、一番風呂は体によくないと明らかになっています。
貴重どころかデメリットのほうが多いくらいです。
ここでは一番風呂が体に良くない理由とその対策法を解説します。
不純物の少なさ
誰も入っていないお湯は余計なものが入っていない真水ですよね?
しかも日本の水道水はミネラル分が少ない軟水です。
このような不純物の少ないお湯は、私たちの肌に刺激が強すぎるのです。
一番風呂に入ると肌がピリピリすることがあります。
あれは肌に含まれる皮脂や塩分がお湯に溶け出している感覚です。
汚れが落ちて良さそうな気がしますが、肌の潤いを保つ必要な成分まで落としています。
そのため、肌荒れや湿疹などをまねく原因になります。
★二番風呂は低刺激
二番風呂になると、前に入った人の成分が(わずかですが)お湯に残っています。
この状態はお湯が柔らかくなる、などとも呼ばれます。
肌とお湯との浸透圧の差が少なくなって成分の溶け出しが緩やかになるんです。
私たちの体をティーパックに例えると、一番風呂がお湯で二番風呂がお茶ですね。
お茶にティーパックを入れてもなかなか成分が出て行きにくいですよね?
対策:入浴剤を入れる
浸透圧による肌への刺激を少なくするのは簡単です。
入浴剤を使いましょう。
入浴剤と言ってもピンきりですが、どんな物でもOKです。
さら湯が良くないので、要は真水でなければいいのです。
なので、ゆず湯や牛乳風呂など入浴剤以外でも有効ということになりますね。
湯船に入れるといい物を集めてみました。
香りや効果で好みのお湯を選んでみてください。
ゆず:リラックス・発汗・血行促進
牛乳:美肌・温感・むくみ解消
お茶っ葉:殺菌・リラックス・柔肌
アロマ:メンタルケア・快眠
菖蒲:冷え症・神経痛・肩こり
よもぎ:血行促進・肌荒れ・デトックス
みかんの皮:美肌・保湿・消臭
備長炭:温感・ミネラル・汚れ除去
塩素の濃さ
水道水には消毒のため塩素が含まれています。
飲んでも問題ない少量ですが、お風呂として浸かると肌に悪影響を受ける可能性もあります。
とくにいれたばかりの一番風呂は塩素濃度が一番濃くなっています。
敏感肌の人やアトピーがある子供は注意してあげないといけません。
対策:ビタミンC入りの入浴剤
水道水の塩素を抜く方法としてよく知られるのが、沸騰させて飛ばすことです。
また、魚の水槽用の水は塩素抜きのために日光に1日さらしておいたりしますね。
どちらも塩素を除去することはできますが、お風呂のお湯には不向きな方法です。
浄水器を使うという手もありますが、最近のお風呂は蛇口のないタイプが多いのでこれもイマイチです。
湯船で一番手軽なのはビタミンC入りの入浴剤を使う方法です。
市販の入浴剤の多くがビタミンC入なのは塩素抜きのためでもあります。
塩素をビタミンCと反応させて無害な塩(塩化ナトリウム)に変えてくれるのです。
もちろんビタミンCを含むゆずやレモンなどを入浴剤代わりに使っても効果がありますよ。
もう一つは炭を入れる方法です。
活性炭には細かい穴が空いていて不純物の吸着力に優れています。
入浴剤と違って、余計な物をお湯に含ませずに塩素を除去できるのがメリットです。
ただし、時間がかかるのがデメリットです。
数時間は炭を入れておかないと塩素除去の効果は薄いです。
★二番風呂なら心配なし
誰かが入った後の二番風呂なら塩素の心配はほぼありません。
入浴剤も炭もないけど、赤ちゃんのお風呂が心配。
というママは、まず自分が入浴してから赤ちゃんのお風呂をすませましょう。
お湯が熱すぎる
風呂の温度は沸かした直後が一番高いです。
二番目に入るとぬるく感じたりしますよね?
たとえ保温や追い焚きをしたとしても一番風呂より温度は下がっていることが多いです。
高温の湯に浸かることは、血圧を上昇させて心臓に大きな負担を与えます。
精神的にも興奮するのでお風呂のメリットであるリラックス効果も得られません。
さらに、美肌に大切な皮脂やセラミドは熱にとても弱く、熱いお湯に溶け出しやすいんです。
対策:湯の温度を40℃以下に
体への負担を考えると、理想のお湯温度は39℃くらいになります。
ただ、冬場にお湯が40℃を切ると結構寒いんですよね。
だからといって追い焚きしては温度を下げた意味がありません。
お湯はそのままで、体が暖かく感じる工夫をして乗り切りましょう。
- 浴室暖房を使う。
- 前もって蒸気を充満させて浴室温度を上げておく。
- 温感効果にすぐれた入浴剤を使う。
- 発泡入浴剤(炭酸ガス)で血行促進させる。
付け加えると、たとえぬるいお湯でも肌の保湿成分は失ってしまいます。
お風呂上がりの肌は完全な無防備状態です。
出来るだけ早く、あがって数分以内には保湿ケアをしてくださいね。
時間をかけるほどどんどん潤いが失われていきます。
部屋と浴室の温度差
一番風呂が危険視されることの理由に、浴室の寒さがあります。
寒い冬に、暖房の効いた部屋から寒い浴室に裸で入ると血圧が急上昇します。
熱い湯船に浸かると血圧は一気に下がります。
洗い場に出ると再び上がります。
このような血圧のアップダウンはヒートショック現象と呼ばれてとても危険です。
対策:浴室と洗面所を暖める
ヒートショック現象を防ぐには、部屋・廊下・風呂場の温度差を小さくすることが重要です。
といっても部屋のようにポカポカにする必要はありません。
「すごく寒い」を「ちょっと寒い」くらいにするだけで効果はあります。
- 浴室暖房や小型ヒーターを使う。
- 湯船のフタを開けて洗い場を暖めておく。
- 部屋の暖気を廊下に流す。
ヒートショックと暖房についてはこちらをご覧ください。
まとめ
★一番風呂のリスクと対策
不純物の少ない湯との浸透圧
入浴剤を入れよう
塩素の刺激
ビタミンCや炭で除去
熱いお湯で血圧上昇・保湿成分破壊
湯は低温で温感効果や室温を上げる
入浴後は即保湿を
部屋と浴室の温度差
事前に暖房を
一番風呂はこの通りデメリットが多いです。
ですがどれも簡単に対策できます。
大げさに対策と考えるより、快適なお風呂を楽しもうという気持ちで試してみてください。