生活していれば面倒事はたびたび訪れます。
しかしそのたびに「めんどくさいからやりたくない」とは言えませんよね。
子どもなら親に怒られるくらいですみますが、大人が口にすれば関係悪化はまぬがれません。
ましてビジネスの世界では、一発で信用をなくしてしまいます。
では波風立てない伝え方はどのようなものなのでしょう?
今回はめんどくさいの丁寧な伝え方について解説します。
伝え方の文例もあげているのでぜひ参考にしてください。
めんどくさいを敬語で表すと?
敬語には3つの種類あります。
尊敬語:相手を持ち上げる言葉
謙譲語:自分を下げる言葉
丁寧語:「御〇〇・です・ます」をつける表現
「めんどくさい」というのは自分の気持ちを示す表現です。
実は自分の気持ちを表す言葉に尊敬語や謙譲語は存在しません。
うれしい・腹立たしい・悲しい・楽しいのような言葉と同じで、相手を高くしたり自分下げの表現には変えられないのです。
とくに、めんどくさいのような否定的な言葉だと、敬意を払う言い方にするのは難しくなります。
めんどくさいを丁寧語にするならできなくはありません。
めんどくさいです。
めんどくそうございます。
めんどくさいことですのでしたくありません。
むりやり丁寧に言うとこんな感じになります。
ただこれだと、言葉尻は丁寧でも相手に与える印象は悪いですよね。
ビジネスの世界でこんなセリフはまず口にできません。
求めている言葉はこういう物ではないと思います。
お断りには婉曲表現を使おう
めんどくさいという表現は露骨で相手に不快な印象を与えます。
露骨の反対は婉曲です。
日本語には、良くないことを和らげて伝えるための婉曲表現があります。
ズバリと言わない遠回しな言い方や暗に示す表現のことです。
めんどくさいを角を立てずに伝えるには、丁寧語を探すより婉曲表現を使うほうがいいです。
要はめんどくさいを他の理由に置き換えて伝えるというわけです。
どのような言い換えをするのか、例をあげて紹介します。
誘いを断る例
遊びや飲みの席に誘われたのを断る場合。
- 誘いに対するお礼
- 断る旨(婉曲表現)
- 断る理由
- 今後もよろしく
という組み合わせで構成すると柔らかくなります。
断る理由は先約・急な出張・体調不良・家庭の事情・冠婚葬祭など。
あまり具体的だと嘘がバレやすいのでボンヤリとした理由のほうがいいです。
断る・行かないという言い方はストレートすぎるので、別の表現に置き換えます。
例文の赤文字部分が「断る」の婉曲表現になります。
声をかけていただきありがとうございます。
せっかくのお誘いですが、あいにく先約がありうかがうことができません。
なにとぞご容赦のほどよろしくお願い申し上げます。
お誘いをいただき大変うれしく思いますが、あいにくその日は別の予定が入っております。
今回の出席は見送らせていただきます。
またの機会にお願いできればと思っております。
お招きいただき大変光栄に思います。
たいへん心苦しいのですが、残念ながら家庭の事情があり参加はご遠慮させていただきます。
次の機会にはぜひ出席させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は都合がつかないのでご一緒するのは難しい状況です。
せっかく誘っていただいたのに申し訳ありません。
自分への提案を断る例
新しい仕事や役職、幹事やスピーチなど自分への依頼を断る例です。
断わりの婉曲表現は同じようなものでいいですが、問題は理由の方です。
飲みの誘いよりは理由をはっきりさせないと断りづらいですよね。
自分を下げて(謙譲)固辞するのが一番言いやすい理由です。
★スピーチ依頼のお断り
ご依頼のスピーチの件ですが、ご辞退させていただきたく思います。
そうそうたるメンバーが参列する中で、私のような若輩者が出る幕ではございません。
ご協力できずに申し訳ありませんが、何卒ご了承ください。
★昇進を断るケース
ありがたいお話で大変光栄です。
しかしまだ私には荷が重いと感じています。
もう少し経験を積んでからでないと力不足でかえって迷惑をかけかねません。
しばらくは現場で仕事をさせていただきたいので、謹んで辞退させていただきます。
★引き抜きへのお断り
お誘いいただいたことは大変うれしく思います。
しかし、全く畑違いの新事業ではお役に立てそうにありません。
今の職場が自分にあっているという思いも強いので、今回のお話は見送らせていただきます。
★セミナーお誘いへのお断り
お誘いくださりありがとうございます。
せっかくのお申し出ではございますが、現在仕事が立て込んでいるためお断りせざるを得ない状況です。
大変申し訳ありません。
断る理由があれば無理にへりくだらなくても大丈夫です。
めんどくさい人という表現
他人の性格に対して「めんどくさい人」という表現を使うこともあります。
たいていは本人がいないところで、口うるさい人・厄介者のような悪い意味で使われます。
さすがにビジネス上では「あのクライアントの担当者はめんどくさい人なんです」とあけすけに言うのはよくありません。
しかし面倒な相手であることは伝えておきたい…。
その場合はこんな言葉に置き換えてみましょう。
- 少し癖のある方です。
- 付き合うのにコツがいります。
- 慣れるのに時間がかかるかもしれません。
自分がそう思う理由も加えると伝わりやすいです。
- 同じ話を何度も繰り返されるので
- ご自身の考えと違ったことはなかなか受け入れていただけないので
お断りの「めんどくさい」と違って本人に言うわけではないので、そこまで婉曲に伝える必要はありません。
陰口にならない程度に正直に伝えればいいでしょう。
めんどくさいは発音上の言葉
めんどくさいは文字で書くと「面倒くさい」になります。
煩わしい・気が進まないというマイナスイメージを示す『面倒』。
「~という感じがする」を意味する『くさい』。
この2つが合体して生まれた言葉です。
口にするときは面倒の「う」が省略されて発音されます。
あまり機会はなさそうですが、文章で書く場合は「めんどくさい」だと間違いになるので気をつけてくださいね。
まとめ
- めんどくさいの敬語はない
- 丁寧語は「めんどくさいです」
- 相手を不快にさせないためには婉曲表現を
- めんどくさいは文章だと間違い
めんどくさいという理由はどう取り繕ってもいいイメージにはなりません。
すべてを正直に言って許されるのは子どもの世界まで。
嘘も方便ではありませんが、ほどよく言い換えて伝えるのが大人のマナーです。