これから旅行に出る人へは餞別を渡すもの。
先日、母からこんな話を聞かされて驚きました。
私の中の餞別は、引越しや転校・転勤・退職など長いお別れになるタイミングで渡すものだったからです。
オマケしても数ヶ月の留学くらいですかね。
そうではなくて数日の旅行でも餞別を渡しておかしくないと言うのです。
ホントに旅行で餞別を渡すものなのか?
いったいどれくらいの金額を渡せばいいのか?
袋の表書きはどう書くのか?
旅行餞別について調べてまとめてみました。
旅行になぜ餞別?
まず、餞別の意味を知っておきましょう。
goo国語辞書で『餞別』を引くと、そこには、こうあります。
遠方に旅行する人や転居・転任などをする人に、別れのしるしとして金品を贈ること。
また、その贈り物。はなむけ。
引用 goo辞書
転居・転任と一緒にちゃんと「旅行」も入っています。
でも、旅行くらいで別れのしるしというのも大げさな感じがしますよね。
もう少し掘り下げると、餞別の「餞」は「はなむけ」と読めます。
これは馬で旅していた時代に、馬の鼻を行く先に向けて旅の安全を願った事に由来します。
この昔の習慣が現代にも餞別として残っているわけです。
産養、馬の餞などの使に、禄取らせぬ。
平安時代に書かれた「枕草子」の一節にも餞の記述があります。
ここの餞は文字通り旅前の餞別のこと。
餞別の習慣はこんな大昔からあったんですね。
この時代の旅行となると今のレジャーとはわけが違います。
車・電車がないのはもちろん、道だって整備されていません。
山を越える時には山賊が出ることもあるでしょう。
無事に帰ってこれない可能性も結構あるわけです。
険しさを考えて現代の感覚に当てはめると「徒歩で日本を縦断してきます」くらいなものでしょうか。
これだったら旅の無事を祈って餞別の一つを渡したくなる気持ちもわかりますね。
★餞別は縁起物と考えよう
どうしても「旅行=遊び」の感覚があるので餞別に引っかかりがありました。
ですが、餞別に旅の無事を祈る意味が込められていると考えれば、渡すのに抵抗は少なくなります。
旅の小遣いでも良さそうですが、両親や目上の人には小遣いという名目では渡しづらいですよね。
縁起物としてお守りがわりに渡すと考えてはいかがでしょう?
餞別には何を贈る
餞別は現金でなくても構いません。
旅立つ人が行先で役に立つであろう品物を贈ってもいいのです。
ただ、旅行だと現金を渡すのが現実的です。
必要なアイテムは自分で揃えているでしょうからね。
「これで美味しい物でも食べて」という感じで相場に見合った金額を渡すのがいいのではないでしょうか。
旅行餞別の相場
餞別にあまりに大きな額を準備する必要はありません。
金額相場を調べるとこんな感じです。
- 親子:1~5万円
- 兄弟・姉妹:5000~1万円
- 友人・知人:3000~1万円
- 勤務先の人:3000~1万円
感覚的には5000円で十分だと思います。
長めの海外旅行で1万円くらい。
数万円となると新婚旅行・銀婚式クラスのイベント時でないと渡しにくいです。
単なる旅行で何万も餞別を渡されたら普通は恐縮してしまいますからね。
「職場の有志で出し合って新婚のお祝い代わりに」
「部活動の合宿のために保護者からちょっとずつ集めて」
例外として、こういうケースなら大きめの金額になるのはありだと思います。
餞別の袋は?
さすがに現金をそのまま渡すのは行儀が悪すぎます。
きちんとのし袋を使いましょう。
- 水引の色:紅白
- 水引の形:ちょう結び
- 表書き:御餞別
- 水引の下:氏名。『友人一同』『兄弟一同』部署名など
★大げさにしたくなければ『ポチ袋』で
相手によってはのし袋だと仰々し過ぎるという場合もありますよね。
そのようなときにはポチ袋を使うのがいいでしょう。
餞別用のかわいらしいぽち袋も販売されています。
のし袋よりこっちの方が渡しやすくて好きですね。
餞別は新札がいいの?
餞別もお祝い金と同じで新札が望ましいです。
基本的に人に渡すお金はキレイなものを使います。
香典だけは前もって準備しておくのが失礼なので使い古しを入れるんですけどね。
まあ冠婚葬祭ほど厳密なものではないので、新札が難しければ手持ちのお札でキレイなものを選べばいいのではないでしょうか?
餞別のお返し
餞別をもらった場合のお返しですが、基本的に餞別にお返しは不要とされています。
ただ、せっかく餞別をいただいたわけですから旅のお土産を渡すのが常識的な行動ですよね。
品物にタブーはないので好みの名産品を選んではいかがでしょう?
まとめ
お守りがわりと考えれば旅行餞別も納得はできます。
両親の旅行時にでも渡してみようと思います。
ただ、有給取って旅行へ行く同僚に出勤する私から餞別を出すのはやっぱり抵抗ありますね…。