毎年新年に行われる出初式(でぞめしき)という行事をごぞんじでしょうか?
馴染みのない人には「何が出発するの?」っていう感じがするかもしれませんね。
今回は出初式はどんなものか、どんな目的があるのかを解説します。
出初式とは?
出初式とは1月はじめに消防団がおこなう新春行事です。
消防団の方が梯子のてっぺんに上って、見事なバランス感覚で逆立ちをしたりするのを見たことがありませんか?
あれは出初式の中でで見せてくれるものの1つなんです。
全国的に1月6日に行われることが多いようですね。
消防への理解や信頼を人々に深めてもらうことや火災予防に対する意識を持ってもらうことが目的とされています。
- 消火・救助・救急演技
- はしご車の訓練
- 消防車や消防隊員の行進
- はしご乗りの演技
- 一斉放水の演技
- 消防庁音楽隊の演奏
こんな内容で見ている人を楽しませてくれます。
単なる防災訓練と違って、見ごたえのあるイベントといった感じですね。
出初式の由来は?
出初式はとても歴史のある行事です。
はるか昔、日本がまだ江戸時代だった1657年に『明暦の大火』と名付けられた大きな火災が江戸で起こりました。
犠牲になった人の数は10万人とも言われる大火災で、お城の天守閣なども含めて江戸の大半が焼けてしまいます。
この大火災の翌年、消防組織である定火消が幕府によって制度化されました。
その翌年…明暦の大火から2年が過ぎた1659年1月4日のことです。
老中という立場だった稲葉伊予守正則が、上野東照宮の前へ定火消を引き連れていき、意気盛んな様子を人々に見せました。
当時の江戸には復興の兆しはなかなか見えず、町の人たちも気を落としていました。
定火消からすると単なる仕事始めのつもりでしたが、落ち込んでいた町民たちはこの様子に大いに励まされてパワーをもらったんです。
復興への意欲が強まり、「出初の式」として大いに讃えられました。
この出来事がきっかけとなって、毎年1月4日には定火消が出初式を上野東照宮でおこなう、というのが恒例行事になったのです。
そんな江戸時代定火消の行事が今の消防団にも受け継がれているんですね。
はしご技をするのはなぜ?
出初式の内容で一番有名なのは、はしご乗りではないでしょうか。
消防団の人が梯子を使って様々な技を披露してくれます。
・頂上技:梯子のいちばん上で見せる
・返し技:主に背面を使う、難しい返し技
・途中技:梯子の昇降時や、頂上技からの途中で繰り広げられる
・輪っぱ:梯子にかけた「輪っぱ」に、手や足をかけて実施
他にもたくさん技があり、全て合わせると52パターンもの技があるそうです。
★はしご技の目的は?
私たちは梯子というと「高いところに登るためのもの」くらいにしか思っていません。
しかし江戸時代には、風向き確認や火災の起きた方角、建物の造り方の調査などに欠かせない道具でした。
消火活動の必需品だったわけですね。
はしごを軽快に登るには体のバランスをいかにして取るかがとても重要です。
そのため火消しに携わる人々は、ときには危険な技のようなことを含めた訓練も交えて火災に備えていました。
出初式ではその磨き上げた技を披露するようになったんです。
ただのパフォーマンスじゃなかったんですね。
まあ多少はお正月の行事で見栄を張る、という江戸っ子の意識もあったとは思いますが。
お子さんと一緒に見る場合、あまりの迫力にかっこよさを覚え、おうちで真似をしたりすることもありそうですね。
ですがこれは隊員たちの日頃の訓練のたまもの。
たとえ低い場所でも危険ですので、ふざけて真似させないようにしましょう。
まとめ
出初式は基本立ち見なのでとても寒いです。
見に行くときは防寒をしっかりして、風邪を引かないようにしてくださいね。
なお、ここ数年は1月6日の11時頃からNHK総合テレビで中継もしています。
きっと迫力に圧倒されますよ。
なおかつ、冬の火の元には十分注意して過ごしましょう。