タオルで顔や体を拭くと、細かい繊維がくっついて困った経験はありませんか?
なんだ、この糸くずは?
しかもおろしたての新品タオルで…。
気持ちよく使うつもりだったのに、がっかりしてしまいますよね。
今回はタオルから出る糸くずの防止について解説します。
どうして繊維がつくの?
タオルは綿の糸を織り上げて作ってあります。
そして糸1本1本はたくさんの繊維をひねって束ねることで作られています。
この短くて小さな繊維は毛羽(けば)といいます。
毛羽はタオルを使うとどうしても抜け落ちてしまう物なのです。
これが体を拭く時に付着してしまうんですね。
とくに繊維をひねらず束にした無撚糸のタオルは、柔らかい肌ざわりですが毛羽が抜けやすいというデメリットがあります。
★パイルから毛羽抜け
またタオルにはパイルがあるので、他の衣類より糸くずが出やすいという側面もあります。
網戸のように縦横を交互に平織した生地をガーゼ地といいます。
ガーゼ地はハンカチやパジャマに使われるようなフラットな素材で、糸くずが出にくいです。
タオルは平織の生地にさらに1本繊維を加えて、パイルという輪っかを作ってあります。
この輪っかがあるため、タオルはふんわりとした柔らかい手触りになります。
パイルそのものが抜けて糸くずになるケースは少ないです。
しかし飛び出しているパイル部分は傷みやすく、他の生地より毛羽抜けが多くなります。
さらにパイルを切断加工して作られているシャーリングタオルは、より毛羽抜けしやすい特徴があります。
★高級タオルは糸くずが出ない?
糸くずが出るのは安いタオル、と思いがちですがそんな事はありません。
無撚糸タオルやシャーリングタオルはむしろ高級品。
安くてひねりがしっかりしている肌ざわりが固いタオルのほうが実は糸くずが出にくいのです。
タオルの糸くずを減らす方法
洗濯で落とす
新しいタオルを使う前に洗濯して、毛羽をある程度落としてしまいましょう。
この洗濯は糸くず落としと割り切って、水たっぷりで少ないタオルを洗います。
水をたくさん使うからと言ってタオルをたくさん入れると、落ちた毛羽が他のタオルにまた付着しやすくなります。
水の中でタオルが泳ぐくらいの量にとどめておきましょう。
また、毛羽取り洗濯をするときにはくず取りネットを必ず使ってください。
ネットを使わないと、洗濯槽の中が落ちた毛羽だらけになってしまいます。
あとの手入れを楽にするためにも毛羽はくず取りネットに集めてもらいましょう。
★吸水が良くなるメリットも
新品のタオルを洗うのは手間だな…。
そう思うかもしれませんが、この洗濯にはもう一つメリットがあるのです。
店頭に並んでいるタオルは柔軟剤をたっぷり効かせてあります。
ふんわりツルリとした手触りで売れやすくするためです。
ところが柔軟剤には水を弾く性質があるので拭き心地がよくありません。
新品タオルで体を拭くと水を塗り伸ばしているような感覚になるのはそのためです。
1回洗濯をするだけで柔軟剤をかなり落とせるので、タオルの吸水がぐんと良くなります。
ドラム式洗濯機は糸くずが出やすい
少ない水で叩きつけるように洗うのがドラム式洗濯機の特徴です。
省スペースや節水が大きなメリットですよね。
ただ、衣類同士の摩擦で洗う方式なので糸くずが出やすく、水が少量なので再びタオルにも付着しやすいです。
今回のようにタオルの毛羽を落とす目的には不向きと言えます。
節水の設定を外すことができたり、水を多めに使うコースが選べるのであれば、それを試してみましょう。
ゴミ取りフィルターも清潔に
洗濯機にはゴミ取り用のフィルターやネットがついています。
このフィルターをキレイにしておくことも大切です。
汚れを放置すると、溜め込んだ糸くずがタオルに付着する可能性があるからです。
タオルだけでなく他の洗濯物にも影響ありますよね。
フィルターは毎回ごみを取り除いておきましょう。
劣化がひどければフィルターだけ購入することもできますよ。
柔軟剤を使わない
タオルを洗濯するときは柔軟剤を使いたくなります。
タオルはフワフワがいいに決まっていますから気持ちはわかります。
ですが、糸くずが目立つときには柔軟剤は控えてください。
たしかに柔軟剤はタオルを柔らかくしてくれます。
しかし同時に、柔軟剤に含まれている界面活性剤が繊維の表面を滑りやすくします。
ツルッとして手触りはいいですよね?
ところが摩擦力が落ちるので、普段は取れない長い繊維もするっと抜け落ちてしまうのです。
肌ざわりがいい高級タオルほどこの柔軟剤の影響を受けやすいです。
はじめは柔軟剤なしの洗濯をおすすめします。
洗濯を繰り返してゴワゴワになってきたら、少なめの柔軟剤を使用するようにしましょう。
はたいて毛羽を落とす
洗濯だけで毛羽をすべて落とすのは難しいです。
そこで干した洗濯物を取り込む時にひと手間。
タオルを数回パタパタとはたきましょう。
これだけでもよけいな毛羽は落ちていきますよ。
もちろん収納前や使用前に軽くはたいてやるのも効果的です。
実はタオルをはたくことで、生地のパイルが立ち上がるのでふんわり感も増すんですよ。
ブラシで毛羽を落とす
あまりに糸くずが出るようならブラシでこすり落とすのも一つの手です。
エチケットブラシをかけて毛羽を落としましょう。
コロコロやガムテープも併用すればより糸くずを取り除けます。
ただ、やりすぎると毛羽立ってよけいに糸くずが出てしまいます。
洗濯しても改善しないときだけ優しくブラシをかけてくださいね。
★織物の不具合の可能性も
あまりにひどいときはタオルの不良品を疑ったほうがいいかもしれません。
まれに、出荷段階から繊維の不具合で糸くずが出やすくなっていることがあります。
高級タオルならメーカーに問い合わせてみてください。
症状によっては新しいものと交換してもらえる可能性がありますよ。
安物は面倒なのですっぱり諦めて捨てましょう。
まとめ
- 糸くず落とし用に洗濯する
- 洗濯機のフィルター(ネット)をキレイに
- 柔軟剤は使わない
- 取り込む時に毛羽を振り落とす
- ブラシで毛羽落とし
- メーカーに問い合わせ
タオルはどうしても柔らかい肌触りを重視しがちです。
ですが糸くずだらけでは肌ざわり以前の問題ですよね。
初めから気分良く使えるよう、先に洗い落としてから使ってみてください。