方角の縁起をかつぐ『方違え』はご存知ですか?
普段は無縁でも、引越しや旅行の時には気にされる方がいるかも知れません。
ただ、調べてみても説明が難しくていまいちよくわからないんですよね。
方違えとは何か?
どうやってやるものなのか?
なるべくシンプルに解説してみます。
方違えとは?
方違えとは、占いで凶が出ている悪い方角へ行きたい時に、一度別の場所へ行って進む方角を変えて目的地に向かう行為です。
陰陽道が基本になった考え方で主に平安時代の貴族が行っていた風習です。
学生時代に学んだ源氏物語にも方違えは出てきますよね。
悪い方角を忌みする(避ける)ので「方忌み」と呼ばれることもあります。
例えばAから北東のBに行きたいとします。
直接行ければ簡単ですが、その方角に悪い方位を示す凶神がいるとストレートには向かえなくなります。
そこでまず東のCを訪れて一定期間留まります。
その後Bに向かうことで悪い方位に向かわずに目的地にたどり着けるというわけです。
このCでワンクッション置いて方位を変えるのが方違えです。
現代人からすると面倒くさい習慣ですが、平安時代の人にとって方位・暦・占いに対する信用度は絶大なものでした。
それらを管轄する陰陽寮という政府の機関が存在していたくらいです。
そのため位の高い権力者でさえ方違えを無視することはできなかったんです。
★方位神
方位の吉凶を示す神様はいろいろいて、いい神様も悪い神様も独自の法則でうろついています。
吉神がいる方角を吉方位。凶神がいる方角を凶方位といいます。
ちなみに、節分の恵方巻きは吉神の歳徳神がいる方角(恵方)に向かって食べると決められています。
歳徳神のパターンも法則があるので、実は恵方って4種類しかないんですよね。
現代の方違えのやり方
ここでは現代における方違えのやり方を紹介します。
といっても、凶方位ひとつ調べるのにも複数の要素がからんで難しいので、正式に方違えをするにはプロに鑑定してもらうしかありません。
専門家ですら流派によって意見が分かれたりします。
あくまでインスタント方違えなので気楽に聞いてくださいね。
★吉方位・凶方位の調べ方
方位の良し悪しは、方位神の他に日取りや自身の生年月日によって決まります。(九星気学)
正式に調べるにはめちゃめちゃ複雑ですが、簡易的な方位で良ければ無料アプリを使って手軽に判断できます。
いつも行く場所への方違え
なんだか最近ツイてないなあと思ったら、いつも通っている道順を変えてみます。
駅までの歩きや自転車通学、車通勤を別ルートにするということです。
方位を変えるには別場所に留まる必要があるので、途中でどこかに寄り道できればベスト。
凶方位なども調べる必要なし。単なる気分転換ですね。
プロが聞いたら怒りそうな方違えですが、縁起をかつぐだけならこれで十分です。
あのパチンコ屋でいつも負けるなあ、というときにも使えます。
道順じゃなくて店を変えたほうがいい気もしますが…。
旅行の方違え
方位を気にするなら、旅行先は方違えしないように決めたほうがいいです。
つまり行き先を選ぶ段階から凶方位を避けるように心がけるということですね。
そうはいっても自分で行き先を決められないケースもありますよね。急な出張とか。
その場合は吉方位を調べて、(可能ならば)そちらで1泊してから目的地に向かいます。
それが無理なら凶方位になるべく長く滞在しないようにしますね。
帰りに吉方位に寄るのも悪くありません。
引っ越しの方違え
一番厄介なのが引っ越しにおける方違えです。
何年もそこに住む引越し先が凶方位だった場合は、方違えにかかる手間や期間も大きくなります。
一般的には、しかるべき方位で十二支干支が一巡する60日間の仮住まいを経ることで方違えできるとされています。
大企業の本社移転ならいざしらず、個人の引っ越しでそんな時間もお金もかけられませんよね。
というわけで引越し先がすでに決まっているなら、方位の吉凶を気にするのはやめましょう。
引越し先を選ぶ段階なら方位を考慮するのもアリですが、決めてしまってからあれこれ考えるのはナンセンスです。
良くても悪くてもどうしようもないことは、調べないのが精神衛生上にもいいですよ。
旧住まいをキレイに掃除する・引っ越し日を選ぶ・ご近所への挨拶、などできることで運気を上げてみてはいかがでしょう?
まとめ
方違えについて簡単にまとめてみました。
ただ、あまり占いの方角に囚われすぎないほうがいいですよ。
方位が悪いからと無理難題やバカ高い金銭を要求してくるのは詐欺だと思って間違いありません。
おそらく平安時代にも、そうやって権力者を操る悪い陰陽師もいたんじゃないでしょうか。