昔からある不思議な言い伝えってありますよね。
「夜に新しい靴をおろしてはいけない」というのもその一つです。
親に言われたからと理由もわからずその通りにしている人も少なくありません。
しかし本当の理由を知るととても縁起が悪いのがわかりますよ。
今回は夜に靴をおろしてはいけない理由について解説します。
どうしても夜に新しい靴が必要な時に使える回避方法もあわせて紹介しますね。
夜に靴をおろすのが葬式とかぶるから
今は誰かが亡くなるとお葬式の後は霊柩車で火葬場に運ばれます。
ですが昔は違いました。
故人の家から火葬場・埋葬場所まで、遺体を家族や近所に住んでいた人たちが運ぶというのが習わしでした。
これを「野辺送り」といいます。
野辺送りは通常、午後から始まります。
藁や白い糸などを編んで特別な草履が作られ、遺体を運ぶ人が履くことになっていました。
しかし遺体をかついだまま草履を上手に履くことはできません。
そのため、部屋でこの草履を履いてそのままかついで道を歩いていったのです。
運び終えた後は、墓地や道の途中にその草履を捨てて帰ります。
夜に新品の靴をおろす行為は、この野辺送りの草履を連想させるので良くないと言われるようになりました。
とくに、部屋の中で靴を試し履きしてそのまま外に出るのはいけません。
もろに野辺送りをなぞってしまいます。
やっていることはご飯に箸を突き立てるようなもの。
これも死者へのお供えと同じで絶対ダメ、と怒られますよね。
新品の靴はお葬式に使うことが多かった
同じような理由で、お葬式で新しい靴をおろす機会が多かったから、というものがあります。
物が豊かでない時代には、新しい靴をおろす機会はめったにありませんでした。
日常は粗末なわらじで過ごしますからね。
特別な日、たとえば冠婚葬祭などには新品の靴を用意します。
冠婚葬祭の中でも午後に靴をおろすのは、急な知らせを聞いてお通夜に向かう時くらいです。
そのため夜に靴をおろす行為が葬儀を連想させるのでよくないと言われるようになったのです。
そういえば私も数年前に、急なお通夜で履く靴がなくて困った経験があります。
深夜だったので、かろうじて開いていたドンキホーテでなんとかそれっぽい靴を手に入れました。
慌てていたのでとくに何もせずにお店から履いて戻りました。
あれも縁起が悪かったのでしょうか…。?
新しい靴では夜道は転びやすいから
新しい靴というのは、そこまで足にフィットしていないものですよね。
当然慣れた靴よりも歩きづらいはずです。
昔の夜道は今とは比べ物にならないほど真っ暗でした。
見えづらいを通り越して目をつぶって歩いているようなレベルです。
ただでさえ足元がおぼつかない夜に歩きづらい新品の靴を履いたら、転んで怪我をする可能性も高くなります。
なので「夜に新しい靴を下ろしてはいけない」というわけです。
夜は靴のサイズが合わない
一日動いていると夜には足がむくみます。
朝ゆるかった靴が夜にはきつくなったりしますよね。
そのため、足に馴染んでいない靴を夜に履きはじめるとサイズが合わずに靴が傷みやすくなる…。
そんな理由で夜に靴をおろすべきではないという説もあります。
縫製のしっかりした靴を手に入れやすい今では強引な理由に感じます。
しかし、サイズ合わせをむくみ足でするべきでないのは靴購入時のセオリーです。
夜に買った靴が翌朝びっくりするくらいゆるゆるで履きづらいことがあります。
靴のフィット感を確認するにはむくみが中間的な昼間が一番いいんです。
現代風にアレンジすると「新しい靴を夜に購入してはいけない」でしょうか。
夜に靴をおろす時のおまじない
むくみや足元の暗さはどうしようもありませんが、縁起の悪さは簡単なおまじないで解決できます。
要はおろした靴が新品でなければいいわけです。
なので軽く汚れをつけちゃいましょう。
★夜靴をおろすおまじない
- 靴底にツバをつける(真似でいい)。
- ライターで一瞬だけあぶる。
- 消したマッチで煤をつける。
- ペンでバツ印を書く。
昔から伝わるおまじないでは、靴底に黒いものを塗るのがよしとされています。
墨汁やかまどの灰、鍋についた煤など。
とくに火には悪いものを払う力があると考えられていたので、灰や煤は厄除けに最適でした。
しかし今ではかまどなんかありませんし、煤のついた鍋がある家もレアでしょう。
そこでマッチやライター、ボールペンなど手近にあるもので代用します。
ツバをつけるふりでも新品でないことにできますよ。
これなら何もなくてもすぐ出来ますね。
まとめ
昔からからの言い伝えにはそれなりの理由が隠れているものですね。
先人に習ってなるべく午前のうちに靴をおろしましょう。
どうしてもそれができないなら、おまじないに頼ってみると心が落ち着きますよ。