その痛みが出産にも相当するともいわれる尿管結石。
爆発的な痛みに七転八倒し、大の大人でも嘔吐失神することもあるという、想像するだけでイタイ病気です。
女性が尿管結石になる割合は男性の半分以下と少なめですが、決して少ない数ではありません。
女性でも油断はできないんです。
女性と男性で、尿管結石の症状などに違いはあるのでしょうか。
男女に違いなし?尿管結石の症状とは?
尿管結石の発症率は男性のほうがかかりやすいといわれていますが、症状は男女でほとんど違いはありません。
■お腹・背中の痛み
尿管結石は、腎臓でできた結石がその先の尿管につまって起こります。
そのため、痛みが出るのはお腹や背中です。
それより下の部分にも痛みが出ることがあります。
痛みの王様と形容されるその痛みは、実際に尿管結石になった友人(男性)いわく「金属バットで腰を思いっきり殴られるより痛い」そうです。恐ろしい。
■血尿
結石によって傷つけられた尿管から出血し、血尿が出ることがあります。
血尿が出る段階では痛みがないことも多いですが、結石以外の病気の可能性もあります。
すぐに病院で検査をしてもらいましょう。
■残尿感
尿管に結石がつまると激痛が走りますが、膀胱まで結石が到達すると痛みはなくなります。
かわりに残尿感や頻尿感など膀胱炎のような症状が現れます。
排尿後に不快な残尿感が残ったり、尿意を感じてトイレに行ってもなかなか出なかったりすることがあります。
尿管結石の原因・女性ならではの理由も
激しい痛みだけでなく、血尿や残尿感など、不快な症状も引き起こす尿管結石ですが、そもそもどのような原因で起こるのでしょうか。
食生活
日本人の食生活の欧米化にともない、尿管結石の患者が増えているといわれています。
肉類中心で塩分や脂肪分の多い食事は、結石の成分であるシュウ酸カルシウムを発生させやすいからです。
本来、シュウ酸とカルシウムは腸内で合成されて便として排出されています。
しかし、脂質の過剰摂取により脂肪酸とカルシウムが結合してしまい、シュウ酸と結合するぶんのカルシウムが不足します。
腸で余りものとなったシュウ酸は腎臓に運ばれます。
これが尿中のカルシウムと結びついてシュウ酸カルシウムになり結石の原因となってしまうのです。
ややこしい話ですが、腸にシュウ酸カルシウムがあるのは(排泄されるので)よくて、腎臓でシュウ酸カルシウムが作られるのはよろしくないということですね。
夜食
食後、尿は濃度が濃くなります。
さらに就寝中は脱水状態になるため、さらに結石が発生しやすい条件がそろってしまうことに。
就寝直前の夜食など、まさに自殺行為です。
空腹を感じるときは、水か麦茶などでごまかしてさっさと寝てしまいましょう。
水分不足
水分が不足すると尿が濃縮して結石が発生しやすくなってしまいます。しっかりと水分をとるようにしましょう。
サイズが小さい結石なら尿と一緒に自然に排出されてしまいます。
1日1.5~2リットル程度の水分をとることをおすすめします。
ただし、コーヒーや紅茶はシュウ酸を多く含んでいるので、水や麦茶、ほうじ茶など他の飲み物でとるよう注意しましょう。
おしっこが出やすいからと行ってアルコールは水分補給にはなりません。
カルシウム不足
とどのつまりは腎臓に行くシュウ酸を少なくすれば尿管結石にはなりにくいわけです。
そのためには腸内でシュウ酸カルシウムになって吸収されて欲しいと。
そのためにはシュウ酸と結合するカルシウムをしっかり摂る必要があります。
乳製品や小魚などを意識してとるようにしましょう。
ビタミンCの過剰摂取
シュウ酸はビタミンCの代謝物の一つなので、ビタミンCを過剰摂取すると結石ができる、という説もあります。
ただこの理論は、因果関係が証明されているわけではないのであまり過剰に心配する必要はなさそうです。
どちらにしても普通の食生活でビタミンCを摂りすぎる心配はほぼありません。
美容のためにサプリメントなどを飲んでいる方は、多少気にした方がいいかもしれません。
更年期
女性ならではの原因として、更年期を過ぎると尿管結石になりやすいと言われています。
更年期になると女性ホルモンが減少して、骨粗しょう症になりやすくなります。
骨粗しょう症は骨から血液にカルシウムが流出します。
流出したカルシウムは尿中のカルシウム濃度を上げるので、結石の原因となってしまうのです。
また、女性ホルモンには結石をできにくくするクエン酸を増加させる働きもあります。それが減少することにより、さらに結石ができやすくなってしまいます。
実際、閉経後の女性の尿管結石の罹患率は男性とほぼ同じというデータもありますので、より注意する必要があります。
まとめ
一般的に、女性よりも男性のほうが発症率は高いといわれている尿管結石ですが、その原因には女性特有のものもあります。
自分は関係ないと油断せず、食事、水分、運動などに気を付けて、しっかり予防していきましょう。