ある日突然下腹部に激痛が走り、七転八倒もだえ苦しむ痛みの王様とも形容される恐ろしい病気、尿管結石。
日本人の男性の10人に1人、女性の25人に1人は尿管結石で悩んだ経験があるそうなので、回りの誰かがしんどい思いをした話を耳にした方も多いんじゃないでしょうか。
なるべくなら一生出会いたくない尿管結石の、原因や主な治療法についてまとめました。
尿管結石とは?原因から知る予防法は?
■尿管結石は腎臓で作られる
尿路結石のほとんどがシュウ酸カルシウムといわれています。
本来、シュウ酸は腸内でカルシウムと結合してそのまま便として排出されるのですが、処理しきれなかった分は腎臓へ運ばれます。
腎臓の中でシュウ酸とカルシウムが結合して石のようなかたまりになったものが尿路結石です。
■尿管に結石がつまると激痛が
結石のサイズが小さいうちは、尿と一緒に尿管を通って自然に排出されています。
でも、だんだん大きくなってしまうと…。尿管をふさいで尿の出口がなくなり、腎臓が圧迫されたときに爆発的な痛みが発生するのです。(想像するだけでこわい!)
■結石はカルシウムだけど原因はカルシウム不足?
一昔前まではカルシウムの摂り過ぎで結石ができると考えられていましたが、近年の研究でこれは誤りであるとわかってきました。
逆にカルシウムが不足すると、本来シュウ酸カルシウムとして腸で吸収排泄されるシュウ酸が余ってしまい、尿の方に流れてしまいます。
このシュウ酸が尿の中でカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなり結石になってしまうのです。
なのでむしろカルシウムを積極的に摂ることは、シュウ酸を腸でしっかり排出できるので結石の予防になります。
■食文化の変化も増加の原因
尿路結石の大きな原因は食生活の欧米化です。
肉類や塩分、糖分などの過剰摂取は尿路結石の発生につながるといわれています。
とくに脂肪はカルシウムと結合してしまうので、腸内のカルシウム不足を招きシュウ酸が尿に流れていく原因になってしまいます。
女性よりも男性に尿管結石患者が多いのは、男性のほうが肉類や濃い味つけの食事を好むことや飲酒の機会や量が多いことなどが理由といわれています。
また、結石は就寝中に作られるため、就寝前の食事はNGです。
薄味で和食中心の健康的な食事を、規則正しい時間に摂るようにしましょう。
■水分補給と運動が大切
尿路結石を予防するには、しっかりとした水分補給が重要です。
できれば1日2L程度の水分を摂りましょう。
コーヒーやジュース、アルコールではなくお水ですよ。
そして、適度な運動も大切です。
ウォーキングやジョギング、階段の上り下りなどの運動が結石予防に効果的だといわれています。
健康的な体づくりという意味もありますが、運動によって結石が細かく割れて排出されやすくなるという効果もあるんです。
尿管結石の原因と予防まとめ
■結石はシュウ酸カルシウムでできている。
■シュウ酸を腸内で吸収させるためカルシウムを積極的に摂る。
■濃い味や塩分脂肪過多の食事は避ける。
■就寝前の食事はダメ。
■十分な水分補給をしてアルコールは控える。
■適度な運動で結石を砕いて排出させる。
尿管結石の治療方法・それぞれの費用や入院期間は?
いざなってしまった時にどんな治療をするのか?
もし手術となったらどのくらい費用がかかるのか、も気になりますよね。
主な治療法についてまとめます。
薬事療法
結石のサイズが比較的小さいうちは、尿量を増やしたり、尿管を拡張したり、結石を溶かしたりする薬を処方されます。
生活改善も含めた自然な排石を待つ治療がメインです。
体外衝撃波結石粉砕治療
体外から衝撃波をあてることで結石を4mm以下のサイズに粉砕して、尿と一緒に排出される治療法です。
体への負担が少なく、術者の腕が治療に影響しないことが大きなメリットです。
日帰り、もしくは2~3日程度の入院で、費用は3割負担で8万円程度といわれています。
経尿道的結石砕石術
尿道から内視鏡を入れて、レーザーで結石を小さく砕いて取り出す治療です。
開腹する必要がないので、体への負担が比較的少なく、確実に石を取り出せることがメリットです。
4~6日程度の入院で、費用は3割負担で17万円程度といわれています。
※高額医療費の限度額認定の対象です。
経皮的結石除去術
腎臓に近い背中側を小さく切開し、そこから内視鏡を入れて、レーザーや砕石機で結石を小さく砕いて取り出す治療法です。
これまでの方法に比べると大がかりで、体への負担も大きくなります。
2cmを超えるほどのサイズの結石を確実に取り出せることがメリットです。
1~2週間程度の入院で、費用は3割負担で30万円程度といわれています。
ただ、結石のサイズによって回数が変わるので治療費の幅も大きいです。
※高額医療費の限度額認定の対象です。
開腹手術
最後の手段、腹部を切開して結石を取り除く治療です。
そもそも結石は再発率が高い上に開腹ともなると体への負担が非常に大きいです。
リスクから考えても今ではほぼ皆無のち療法といっていいでしょう。
まとめ
女性の出産の痛みにも相当するといわれている尿管結石。
ですが、水分をしっかりとって適度な運動と健康的な食生活を送ることで予防することができます。
「自分はならないから大丈夫」などと楽観視せず、もしものときに備えましょう。