年末になると「歳の市」という言葉をちらほら耳にします。
しかし年末開催されるのは知っていても「歳の市とは何なのか」にズバリ答えられる人は少ないのではないでしょうか。
祭り?神事?催事?
大きな羽子板や熊手を売っていたような…。
なんとなく分かっているようでハッキリしない歳の市について解説します。
全国どんな場所で歳の市が開催されているのかも紹介しますよ。
歳の市は正月準備ができる市場
歳の市とは、お正月用の飾りやお餅・海産物などを取り揃えてある市場のことです。
おもに年末開催されます。(場所によっては年明けにも)
今ほど店が充実していなかった昔は、寺社で「市」という売出しが定期的に実施されていました。
市の中でも特に、お正月準備のための品物を買う人の多い年末の市はいつもより大勢のお客さんが訪れます。
職人や商売人にとっては書き入れ時だったわけです。
そのため、年末の市だけを特別に「歳の市」と呼ぶようになりました。
ざっくりいうと様々な物を売る年末バーゲンですね。
時代とともに買い物場所が店舗へと移っていったため市の数は減少しましたが、ビッグイベントである歳の市はまだあちこちに残っています。
歳の市では何を売っているの?
- お正月用品:注連縄・鏡餅・門松・羽子板
- 縁起物:熊手・だるま・神棚
- 食べ物:お餅・鮮魚・干物・おせちの材料
お正月用品が中心ですが食品から日用雑貨まで何でも販売しています。
「お正月から新しいものを使うとお清めになるので縁起がいい」
という売り文句で昔から販促していたようです。
年末はみんなの懐も暖かく財布の紐も緩かったのでしょう。
お祭りのときのような食べ物の露店が並ぶ市も少なくありません。
歳の市といえば羽子板?
歳の市で売られる縁起物といえば羽子板のイメージが強いですね。
これは全国随一の巨大イベント、浅草浅草寺の歳の市の影響が強くあります。
羽子板といえば、木の板で羽をつくお正月の女の子の遊びです。
羽には女子が健やかに育つようにという願いが込められており、女の子が生まれたときには羽子板を贈る習慣もありました。
江戸時代になると歌舞伎役者の似顔絵が描かれた羽子板が売られるようになります。
今で言うアイドルグッズですね。
若い女性が市に並ぶ羽子板をこぞって買い求める大ブーム到来。
元々の縁起の良さも後押しして、浅草の歳の市には欠かせない目玉商品になりました。
浅草だけは歳の市を「羽子板市」とも言うくらいです。
浅草の羽子板市は毎年12月17~19日に開かれます。
羽子板を扱うお店が数十軒も並ぶんですよ。
羽子板を買った人には店員さんが三本締めを送ってくれるなど、とても賑やかで活気のある市になっています。
見た目も色とりどりでとても華やか。市の空気を味わうだけでも楽しくなれますよ。
酉の市とは違うの?
歳の市と間違いやすいのが酉の市です。
とてもよく似た名前ですが別物。
酉の市は関東地方を中心に実施されるもので、11月の酉の日に開かれます。
歳の市といえば羽子板が縁起物の代表ですが、酉の市といえばなんといっても熊手です。
ニュースでもよく取り上げられるので目にすることも多いと思います。
誰が買うんだよ、ってくらい巨大な熊手がずらっと並ぶんですよね。
もちろん家庭に飾りやすい小さな熊でも販売されています。
全国の歳の市
全国にある歳の市の一部を紹介します。
お祭りのように規模が大きい市からミニバザーくらいのものまでいろいろありますよ。
浅草寺歳の市(東京都・浅草)
薬研堀不動尊納めの歳の市(東京都・東日本橋)
人形町 歳の市(東京都・人形町)
長谷寺歳の市(神奈川県・鎌倉)
五所神社 歳の市(神奈川県)
平塚八幡宮 歳の市(神奈川県)
天童歳の市 つめのいち(山形県)
ゆざの歳の市 ゆざっと軽トラ市(山形県)
かせだ歳の市(鹿児島県)
勝山 歳の市(福井県)
伊勢内宮前 おかげ横丁 歳の市(三重県)
中島公園 歳の市(北海道・札幌)
まとめ
スーパーの折り込みチラシにも年末になると「歳の市」という言葉が踊ります。
デパートでも使いますね。
スーパーもデパートも現代の市ですから、歳の市を開催しても不思議はありません。
しかし、昔ながらの歳の市で正月準備をするのも乙なものですよ。
近所のお店にはない思わぬ掘り出し物があるかもしれません。