お寺宛てのお手紙をスラスラ書ける人は少ないのではないでしょうか。
何か失礼な間違いをしそうで筆もなかなか進みませんよね。
宛名はどう書くの?
敬称はなんてつける?
挨拶はどう書けばいいの?
めったに手紙を出す相手でないので悩みますよね。
そこで今回はお寺への手紙の書き方を目的別の例文付きで解説します。
宛名や敬称についても説明していますよ。
お寺へ手紙を書く際の参考にしてくださいね。
宛名は「御中」または「様」
お寺への宛名は「〇〇寺 御中」と書きます。
会社や団体などに送る手紙の場合は宛名の最後に「御中」をつけますよね。
お寺もこれと同じと考えて大丈夫です。
お寺に対して御中と書くことに違和感があるなら、「〇〇寺 様」と書いてもいいです。
様は団体にも個人にも使えるオールマイティな敬称ですよ。
住職宛ては「様」
住職の名前を宛名にする場合でも「様」を使います。
名前がわからなければ「住職様」でもOK。
この場合は寺に御中はつけません。
「〇〇寺 住職 △△様」
「〇〇寺 住職様」
「〇〇寺 ご住職」
のようになります。
ご住職様だと二重敬語でくどいので「ご住職」がいいです。
ちなみに「殿」という敬称は、目上から目下へ・会社から社員へのような使われ方が一般的です。
個人で出す手紙では「様」を使ったほうがいいですよ。
事務手続きなら寺宛てが無難
お礼や挨拶状など住職への個人的な手紙なら、宛名は住職にするべきです。
しかし、法事の手続きやお墓についての相談など事務的な内容ならお寺宛てにしたほうがいいです。
住職宛ての手紙だと開封できるのが住職だけなので、手続きが遅れてしまうかもしれません。
また大きなお寺だと知らないうちに住職が交代していることもあります。
前任者あての手紙だと混乱させてしまいます。
なので「〇〇寺 御中」と書くのが無難です。
お寺への手紙の書き方
お寺への手紙だからといって必要以上にかしこまった文面は不要です。
自分が誰なのか、何の用事なのかをわかりやすく伝えられれば問題ありません。
これだけ書いておけば失礼はない、という基本の内容を紹介しておきますね。
★基本の内容
- 頭語(謹啓)
- 時候の挨拶
- お世話になっているお礼
- 自己紹介(※)
- 用件
- 今後の打ち合わせについて(※)
- よろしくお願いします
- 結語(謹白)
- 日付
- 差出人(住所・氏名・電話番号)
- 〇〇寺様
こんな流れになります。
頭語と結語は丁寧な「謹啓・謹白」がいいでしょう。
時候の挨拶は季節に合わせて適当に当てはめてください。
わからなければ
「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
が季節選ばずいつでも使えるので便利です。
自己紹介は名前だけでなく住んでいる地域や先祖の名前も書いたほうが伝わりやすいです。
日頃から付き合いのある人ならすぐわかりますが、めったに来ない人の名前だけだと「誰だろう…?」となるかもしれません。
また、用件が込み入った話の場合は、電話をする旨や直接うかがうことを書いておきます。
お寺への手紙文例
いくつか手紙の文例を作ってみました。
結語以下の日付や宛名は省略しています。
卒塔婆をお願いする手紙文例
謹啓 日ごとに秋の深まりを覚えるこの頃、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。
平素より大変お世話になっております。
〇〇町の〇〇でございます。
来たる令和元年11月17日に父〇〇の三回忌法要をお願い致しております。
その際に卒塔婆を建立したいと存じますので、以下に氏名をお知らせいたします。
大サイズ
山田太郎
小サイズ
山田花子
小サイズ
孫一同
以上、三基の卒塔婆になります。
よろしくお願いいたします。
謹白
卒塔婆のお願いをする手紙文例です。
大事なのは卒塔婆に記入される名前なのでここだけ間違えないように。
でも本当は、この用件だったら手紙より電話やFAXでお願いするほうが早いです。
送金に同封する手紙文例
謹啓 長雨の候、ますますご隆昌の段、心よりお慶び申し上げます。
いつもお世話になっております、故〇〇の息子の〇〇でございます。
失礼かと思いましたが、お寺宛てに〇〇(名目)を郵送させていただきます。
本来であればお参りにうかがい直接お渡しするべきところではございますが、なにとぞご容赦くださいませ。
日を改めて、お参りさせていただきたいと考えております。
末筆ではございますが、皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
謹白
お寺にお金を送る時の手紙文例です。
〇〇にはそれぞれの名目(管理料・お施餓鬼料など)を入れてください。
当然ですが必ず現金書留で送ってくださいね。
墓じまい相談の手紙文例
謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
いつもお世話になっております、〇〇県の〇〇でございます。
今回は墓じまいのご相談で筆を取りました。
私どもの住まいからはかなりの距離があり、なかなかお参りができないことが長年の気がかりでした。
そこでこの機会に、こちらの住居の近くにお墓を移すことを検討しております。
これまでの先祖に対する手厚いお世話には、感謝の言葉しかございません。
こちらの勝手な都合による申し出で失礼かと思いますが、近いうちにお電話でご相談させていただきたく思っております。
何卒、ご対応いただきますようよろしくお願いいたします。
謹白
お墓をもっと家の近くに移したい…そんなケースも最近は多くなっています。
これは電話だけで済ませられる簡単な用件ではないですよね。
手紙・電話・お寺への訪問と、相談しながら順を追って進めていきましょう。
お寺への年賀状
お寺へ年賀状を出すのはおかしなことではありません。
お世話になっているところへ季節の挨拶状を出すことは不自然ではないですからね。
文面も特に使ってはいけない言葉はありません。
「あけましておめでとうございます」も普通通り使えますよ。
年賀状の宛名は〇〇寺御中より住職様のほうが良さそうです。
普通の年賀状と同じように、一言コメントで感謝やよろしくの気持ちを伝えるのがいいと思いますよ。
★一言コメント例
- 旧年中は祖父の七回忌でたいへんお世話になりました
- これからもお世話になりますが どうぞよろしくお願い致します
- 本年も変わらぬお付き合いをお願いいたします
ちなみに年賀状には句読点を使わないのがマナーです。
長い文章は改行して区切りましょう。
まとめ
お寺相手だととんでもなくへりくだった言葉を使いたくなりますが、そこまでする必要はありません。
寺と檀家とはいえ人と人。
目上の人へ送る一般的に丁寧な内容なら十分ですよ。