青のりとあおさって似ていますよね?
この2つの違いを正確に答えられる人はなかなかいません。
- 青のりもあおさも同じでしょ。
- 青のりをたくさん入れればあおさの味噌汁になるのでは。
- 粉にしたのが青のりでとろろっぽいのがあおさ。
- よく歯に付いているのが青のり。
実はこれ、全部間違いなんです。
今回は
青のりとあおさの違い
青のりをあおさとして代用できるか
について解説します。
あおさと青のりの違い
あおさと聞いて思い出すのは、お寿司屋さんで出てくるお味噌汁です。
トロリとした緑の海藻の磯の香りが食欲をそそりますよね。
青のりと聞くと、お好み焼きやタコ焼きの上にかける緑の粉を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
トロリがあおさで粉状なのが青のり。
しかし、この区別の仕方は間違いです。
あおさと青のりの違いは原料となる海藻の差。
海苔の食感がとろとろかパラパラかは関係ないんですよ。
あおさの原料
あおさは
アオサ目アオサ科のアオサ属
またはアオサ目ヒトエグサ科のヒトエグサ属
という海藻から作られます。
代表的なアオサ属はオオアオサやアナアオサがあります。
ヒトエグサ属にはシワヒトエグサ・エゾヒトエグサがあります。
アオサ属もヒトエグサ属も葉のような広がった形状で収穫量は高め。
値段も安いので、日常使われる緑色の海苔はほぼあおさだと考えていいです。
青のりの原料
青のりはアオサ目アオサ科のアオノリ属という海藻で作ります。
代表的なアオノリ属はスジアオノリ・ヒラアオノリ・ウスバアオノリ。
細い糸状なのが特徴で、あおさよりもはるかに値段が高いです。
アオノリ属で作る本物の青のりは料亭や贈り物に使われる高級海苔です。
お好み焼きの青のりの正体は?
じゃあお好み焼きにかけるおなじみの緑粉はどれなの?
と思いますよね。
カップ焼きそばにまで付いていてとても高級なアオノリ属とは思えません。
あの粉はアオサ属のあおさです。
もう少し正確に言うとあおさ加工品。
あおさを乾燥させてフレークのように加工した海苔です。
商品名も「あおさ」「アオサノリ」「青のり粉」になっているはずで、決して「青のり」という名前では売られていません。
アオノリ属を使っていないので青のりという名前は付けられないんです。
よく歯に付いているのも青のりではないので「歯にあおさ付いてるよ」が正解になります。
でも世間的にこの緑粉は青のりですよね。
ややこしいです。
本物の青のりは海苔の形が違います。
パラパラの粒ではなく短い糸状になっています。
もともと細長い形のアオサノリ属の海藻を細かくしているのでこういう形になります。
名前にも原材料にも「青のり」と明記されているのですぐ分かりますよ。
値段もあおさよりどーんと高くなります。
味噌汁に入れるあおさの正体は?
お好み焼きにかける緑の粉があおさ。
だったら味噌汁に入れるトロトロ緑のあおさは何なの?
と疑問に思いますよね。
味噌汁に入っているのはヒトエグサ属から作るあおさです。
私たちが買う商品で言うと乾燥あおさですね。
あおさにはアオサ属から作るものとヒトエグサ属から作る2系統があります。
アオサ属は食感が硬いので、細かくして青のり風トッピングとして使われます。
ヒトエグサ属は柔らかく口当たりもいいので佃煮によく使われます。
味噌汁に入れるのもヒトエグサ属のあおさです。
スーパーの売場だと青のり粉は調味料コーナー、乾燥あおさは乾物コーナーに置いてあります。
乾燥あおさはボウルに入れた水で戻してから使います。
煮込みすぎると色が悪くなるので、水で戻しておいて火を止める直前にさっと入れます。
砂や小さな貝など異物が付着している可能性があるので、水で戻すことで汚れも落とせますよ。
青のりとあおさ・なぜこんなややこしい呼び名に?
もともと緑の海苔にはアオノリ属で作る青のり、ヒトエグサ属から作るあおさの2つしかありませんでした。
しかしアオノリ属の収穫量が年々減って値段が高騰。
そこで駆り出されたのが、今まで食用とされていなかったアオサ属の海藻です。
そのままでは食べられませんが乾燥させて砕くと青のりの代用品に使えます。
価格も安いのであっという間に広まって、今では本物の青のりの存在をかすませるくらいポピュラーになりました。
しかし代用品なので青のりの名前は使えません。
しかもややこしいことに、原材料の学名がアオサ属なのでこれもあおさにジャンル分けされてしまいます。
その結果、
アオノリ属:高価であまり目にしない本物の青のり
アオサ属:いわゆる青のりだけど正式名はあおさ
ヒトエグサ属:昔ながらのあおさで正式名もあおさ
という誰もが混乱する呼び名が定着してしまったんです。
青のり粉は乾燥あおさの代用になる?
青のり粉も乾燥あおさもジャンル分けすればどちらもあおさです。
ということは、あの青のり粉を味噌汁に入れればあおさの味噌汁になるのでは?
と思っても不思議はありません。
残念ながらアオサ属とヒトエグサ属では食感が違うので完全な代用には使えません。
アオサ属は硬いのでどうしてもあのトロリとした食感にはならないんですね。
とはいえ青のり粉を味噌汁に入れるのは悪くないアイデアです。
思い描くあおさの食感とは違いますが磯の風味はバッチリ出ます。
味噌汁に変化をつけたい時にはもってこいのアイテムです。
青のり粉が湿気り気味で大量消費したいときにもいいですよね。
まとめ
- 青のりと呼ばれる緑粉はあおさ(アオサ属)
- 味噌汁に入れるあおさもあおさ(ヒトエグサ属)
- 本物の青のりは高級品(アオノリ属)
- アオサ属を味噌汁に入れてもトロリとならない
- でも、それなりに美味しい
調べるほどにあおさと青のりのややこしさが深まっていく気がしました(笑)。
そろそろアオサ属の青のり粉にいい名称を考えてほしいですね。