大切なお客様が見えたら座布団を用意しますよね。
普段遣いの座布団ではなく客用のいい座布団を出すことが多いと思います。
しかし意外に知られていないのが座布団のマナーです。
真四角に見える座布団にも前後や裏表があるんですよ。
知らないうちにマナー違反をしてしまっているかも…。
今回は座布団を出すときに気をつけたいマナーを解説します。
あわせて知っておきたい招かれた側の座布団マナーも紹介しますね。
これさえ読めば恥をかくことはありませんよ。
座布団にも前後や裏表がある
座布団は四角いので当然4つの辺があります。
同じような4辺ですがよく見ると違いがあります。
座布団は長い布を折りたたんで3つの辺を糸で縫い合わせて作られます。
つまり一箇所だけ縫っていない辺があるわけです。
この縫い目がない辺が「前」になります。
これをベースに座布団の正しい向きと裏表を判別できますよ。
座布団の向き
座布団の向きは、正座をしたときに膝が並ぶ辺に「前」を置くのが正解です。
これは相手との縁を切らないという意味を持っています。
自分とお客様が対面したとき間に布の切れ目がないので、縁が繋がっているということなんですね。
セッティングするときには気をつけましょう。
座布団の裏表
座布団の表裏はタイプによって判別方法が違います。
中心に房が付いているタイプの座布団は房が付いている方が表です。
裏側の中心には縫い糸だけがあると思います。
絵柄のある座布団は「前」を上にしたときに柄が正しく見える方が表です。
座布団の前後は確定しているので、お客様から見て柄が逆さまにならない方を表にします。
房も柄もない座布団は縫い目で判断します。
縫い目が上になっている側、つまり布が覆いかぶさっているほうが表になります。
基本的には紹介したような判断の仕方をします。
ですが、全ての座布団に正式な向きや裏表があるとは限りません。
中には4辺全てに縫い目がある物もありますし、両面に房が付いていたりするものもあるんですよね。
判断つかない座布団はせめてきれいな面を上にしましょう。
長方形の座布団
座布団の中には、正方形ではなく長辺と短辺のものがあります。
そこまで極端に長いわけではないので「なんだか違うように見える…」と違和感を覚える程度の違いです。
このときは長い辺を縦方向に向けましょう。
ファスナー付き座布団
私が今使っているファスナー付き座布団はどっちが前?
こんな疑問を持つ方もいるかも知れません。
厳密に言うとファスナーが付いているものは座布団カバーなんです。
カバーなので正式な前後はありません。
しいて言えばファスナーを後ろにしたほうがいいかなと。
日常使いの座布団にファスナーがあるのは当たり前。
ですが、来客用に使うような座布団はカバーを外して出すのが正式なマナーです。
よそで出されるちょっといい座布団にファスナー付いているイメージないですよね?
座布団を勧めるときになんて言う?
意外に迷うのが、お客様に座布団をすすめるときに何と言うかです。
「お座りください」では犬みたいだし、椅子でもないのに「お掛けください」ではおかしな気がしますよね。
座布団は当てるものなので「どうぞ座布団お当てください」が良さそうです。
さらに、正座で固い座り方をされたら「足をくずして楽になさってください」と促してあげるのがいいでしょう。
礼儀を重んじる方ほど自分から楽な姿勢は取りにくいものです。
ちなみに足を丁寧に言うと「おみ足」になります。
「おみ足をおくずしになってください」のように使います。
「お足をくずして」は良い言い方ではありません。
「お足」ではお金という意味になってしまいます。
予算オーバーのことを「足が出る」なんていい方をしますよね。
座布団を出されたときのマナー
ここまでは自分が座布団を用意する時のマナーです。
逆に自分がお客として招かれたお宅で座布団が用意してあることもありますよね。
客側としての座布団マナーも知っておきましょう。
勝手に動かさない
出された座布団の位置を客が勝手に動かしてはいけません。
座布団はここへどうぞという意味で置かれていますから、それを尋ねてきた人が「いえいえ、こっちがいいです」と動かすのはおかしいですよね。
帰るときも同じです。
座布団を降りてから、使っていた面を裏にしたり端に寄せたりする必要はありません。使った位置にそのまま置いておけばいいです。
もし座布団の裏表や前後が間違っていたとしても訂正すべきではありません。
自分がもてなす側として座布団に気を使うのはいいですが、相手にマナーを押し付けるのは大変失礼になります。
座布団を踏まない
座るときと降りるときに座布団を踏まないように気をつけましょう。
あなたへの心遣いが込められている座布団です。
人の気持ちを足で踏みにじる行為はいけません。
同様に座布団の上を膝で歩くのもNGです。
★座り方
- 座布団につま先が触れるくらいの位置に立つ。
- 膝を折り座布団の上に乗せる。
- 足の左右に手を付けて、座る位置を調整する。
★降り方(立ち方)
- 足の左右に手を付けて少し後ろ側に下がる。
- 座布団から足先が出るところまで下がったらそのまま立ち上がる。
足や膝をなるべく使わずに、手で移動を補助するイメージですね。
座布団に座るのは勧められてから
座布団に座るのは勧められてからにしましょう。
それまでは座布団横の下座側に座って待ちます。
下座とは室内の床の間から遠い方・入口に近い方です。
学生時代に習った面接のマナーを思い出してください。
入室して面接官に「お掛けください」と言われてから椅子に座りますよね。
座布団も同じようなものと考えればイメージしやすいのではないでしょうか。
勧められたら素直に座布団に座ります。
ここでなかなか座らない人がいますが遠慮しすぎはかえって失礼になりますよ。
座布団の上で挨拶しない
挨拶は座布団に座る前に済ませます。
帰りの挨拶は座布団から降りてします。
座布団に座ったまま挨拶しないように気をつけましょう。
これは日本人が重んじる目線の高さが理由です。
和室での挨拶は見下ろすような形になるのはマナー違反です。
できる限り目線を下げて挨拶するべきとされています。
なので座布団の上や立ったままの挨拶はよくありません。
畳の上に座った状態で挨拶します。
旅館の仲居さんがわざわざ座ってふすまを開けるのもこの理由があるからです。
まとめ
- 座布団には前後あり
- 裏表もある
- 座布団は「お当てください」
- 客側は座布団を動かしてはいけない
- 踏むのはNG
- 勧められてから座る
- 座布団上で挨拶しない
普段は座布団の向きなんて気にしないですよね。
ですが、家庭訪問の先生や法事でお坊さんに座布団をお出しするときには、マナーを守った出し方をしましょう。