端午の節句には鯉のぼりを飾りますよね。
風になびく鯉の姿は、日本のこどもの日の象徴的な風景です。
でも、どうして鯉のぼりを飾るのか知っていますか?
その理由を子供にも説明できるようにかんたん解説。
読み聞かせにも最適な鯉のぼりの絵本も紹介します。
どうして鯉なの?
魚にはたくさんの種類がいます。
その中でどうして鯉が選ばれているのでしょうか?
★中国に伝わる鯉の故事
これは中国に伝わる「鯉が龍になった」お話が元になっています。
中国を流れる黄河という大きな川の上流に『龍門』という場所がありました。
龍門は龍門山という山を切り開いて作られた、滝がたくさんあるとても急な流れの場所です。
水が勢いよく流れるこの龍門を、鯉は流れに逆らってぐんぐんと登っていったんです。
そのまま鯉はどんどんと進み続けて、とうとう天まで昇って龍になってしまいました。
とてもたくましいお魚ですよね!
この『鯉の滝登り』と呼ばれるお話から、鯉はいい地位に昇りつめて有名になる(立身出世)象徴とされます。
ちなみに、難関の受験やコンクールのことを登竜門と呼ぶのは、この昔ばなしが元になっているんです。
合格すれば龍のように出世間違いなしの関門、ということですね。
★薬になるくらい元気な鯉
縁起がいい鯉のイメージは中国から日本にも伝わりました。
さらに、鯉は魚の中でもとくに強い生命力を持っています。
水が汚い住みにくい場所でも、鯉はたくましく生きていくことができます。
そのため昔から鯉を食べると精がつくといわれて、薬用の魚としても珍重されました。
時代劇で、病気のお母さんのために池の鯉を捕まえる…なんてシーンがたまにありますよね。
縁起が良くて力強い生命力を持つ鯉。
子供にも元気よく育って偉くなって欲しいという願いを込めて、鯉のぼりがあげられるようになりました。
のぼりにするのはどうして?
鯉をのぼりにするのは日本の江戸時代の風習が元になっています。
将軍様の家に男の子が生まれると、武士は家ごとについているマークの『家紋』が入ったのぼりを立ててお祝いしました。
のぼりとは、細長い布を竿に結んで風にひらひらとなびく旗のようなもの。
スーパーの「大売り出し」やパチンコ屋の「新装開店」みたいなお店前にはためいているアレですね。
こののぼりを立てるお祝い方法は、やがて一般の江戸庶民にも伝わっていきました。
武士ではない庶民が、家紋入りののぼりを堂々と立てられる時代ではありません。
それでもお祝い事・お祭り好きな江戸っ子はのぼりを立てたい…。
そこで「立身出世の意味を持つ鯉をのぼりにしたらいいんじゃない」と思いついて鯉のぼりが誕生しました。
鯉のぼりというと、長い竿に大きな鯉が何匹も付いているのを思い浮かべますよね。
ところが最初は和紙に黒い鯉がついていただけの地味なものでした。
鯉のぼりを飾るのが当たり前になっていく中でだんだん派手になり数も増えていったのです。
今では一番上に黒い大きな真鯉(お父さん)、その下にちょっと小さい赤い緋鯉(お母さん)、さらに下にいる小さな子鯉(子供たち)というセットが主流ですね。
一番上の「ひらひら」は何?
鯉のぼりの一番上にはひらひらなびく飾りが付いています。
あれは吹き流しと呼ばれているもので、魔よけのために付いています。
昔はお医者さんの技術が今よりまだまだ未熟でした。
そのため病気や栄養失調で亡くなってしまう赤ちゃんや子供が珍しくありませんでした。
子供を病気や悪いことから守ってほしい……吹き流しにはそんな願いが込められています。
カラフルな吹き流しですが、あの色にもちゃんと意味があります。
- 青(または緑)は木
- 赤は火
- 黄は土
- 白は金
- 黒(または紫)は水
吹き流しの5色は昔の中国の考え方(五行説)から来ています。
自然すべての源の5つが一緒にあると、魔よけとして働いてくれるとされていたんです。
水が黒ってところは私たちには違和感ありますけどね。
おすすめの鯉のぼり絵本
小さな子への読み聞かせにもってこいな鯉のぼりの絵本を紹介します。
空をゆうぜんと泳ぐ鯉のぼりは、夢のある物語にとてもよく合います。
近くの図書館や児童館にも置いてあるかもしれませんので、一緒に行って探してみるのもいいですね。
★げんきにおよげこいのぼり
鯉のぼりの由来を小さな子にもわかりやすく伝えてくれる絵本です。
端午の節句についても解説されていてお母さんにも勉強になるかも。
★かっぱのこいのぼり
お祝いの日を前にして、かっぱの世界では大人も子供もウキウキです。
かっぱたちが待ち望むこいのぼりとは…。
空想と現実の光景がクロスする素敵なストーリーです。
★みどりのこいのぼり
葉っぱを集めて鯉のぼりを作った山の動物たち。
空を泳ぐみどりの鯉のぼりにまたがって海へと旅していきます。
かわいい動物が活躍する夢のあるストーリーです。
★ワニぼうのこいのぼり
ワニぼうのために鯉のぼりを買ってきたお父さん。
でも気持ちよさそうな鯉のぼりを見ているうちに思わず…。
お父さんの行動から意外な展開になっていく楽しいお話です。
★とらのこさんきょうだい かえうたかえうたこいのぼり
鯉のぼりを見てよろこぶ子トラの三兄弟は、元気に替え歌を披露します。
歌の世界の鯉のぼりで遊ぶ三兄弟とお父さん。
子どもたちの元気さとお父さんの優しさに包まれた、ほのぼのする絵本です。
まとめ
元気で健やかにたくましく育ち、立派な大人になってほしい…鯉のぼりにはそんな願いが込められています。
鯉のぼりをあげる家庭も少なくなりましたが、青空に堂々と泳ぐ姿は本当に美しく勇ましいものです。
今年はぜひお子さんと一緒に準備してはいかがでしょうか。