年が明けると『新春』という言葉をよく見かけますね。
縁起のいい言葉で響きもいいのでいろいろな場面で使いたくなります。
しかし、いつまで新春という言葉を使っていいのでしょうか?
春という漢字が入っている割には、暖かくなるころには全く見かけないような…。
格好つけたつもりが逆に季節外れな雰囲気を出してしまうのはイヤですよね?
そこで今回は、新春を使用できる時期について具体例を挙げて解説します。
新春の時期はいつまで?
辞書で新春を調べてみるとこうあります。
新年。初春 (はつはる) 。正月。
引用 goo辞書
新春は正月とほぼ同じ意味の言葉です。
つまり、お正月気分が残っている期間なら使っていいことになります。
- 三が日なら問題なく使用可能。
- 松の内(1月7日)までは不自然さは無い。
- 小正月や関西の松の内にあたる1月15日までは使用あり。
- 頑張っても1月中まで、2月に使うのはおかしい。
新春の使用期間に厳密な決まりはありませんが、こんな感じだと思います。
例えるなら、2月のレクリエーションで「新春!ボウリング大会」と題するのは、2月に「お正月ボウリング大会」を開催するようなもの。
感覚的におかしいのがわかりますよね。
新春なのに春じゃない理由
正月なんて完全に冬なのになぜ新春?
今の私たちだとこう考えてしまいますよね。
この感覚のズレには暦の変更という理由があります。
★新暦と旧暦
私たちが現在使っているカレンダーは太陽暦(新暦)を元に作られています。
名前の通り、太陽を一周する地球の動きを1年としてそれを12分割しています。
季節感(気温)に連動した暦といえますね。
しかし、明治時代までは太陰太陽暦(旧暦)が使われていました。
明治と言えばそんなに古い話ではありません。
太陰暦は今では無視されている月の満ち欠けを考慮した暦です。
一ヶ月が新月からはじまって15日あたりで満月になり、月の終わりで再び新月に戻るという月連動型の暦です。
2つの暦のメリット・デメリットはひとまず置いておいて、問題は新暦と旧暦にズレがあることです。
新暦のほうが旧暦より約一ヶ月ほど早くなっています。
新春という言葉が生まれたのはもちろん旧暦の時代。
なので暦のズレがそのまま新春への違和感として残ってしまっているのです。
旧暦だと正月はだいたい2月の初旬で、新暦で言う立春の時期と重なります(年ごとに微妙に違う)。
そう考えると春という言葉を使ってもそんなに変ではないですよね。
実際の「新春」使用例を見てみよう
新春はいつまで使えるか?
こういう議論は理屈より世間一般の常識のほうが大切です。
要は、新春を使って変じゃないかな?ということを知りたいわけですからね。
というわけで新春が使われる実例を調べてみました。
初売りの宣伝
テレビCMや折り込みチラシでは『新春初売り』や『新春セール』と書かれているのをよく目にします。
実際にセール時期を見ると元旦から松の内までのものが多いです。
スタート時期が遅いと15日くらいまで続くものもありますね。
ただ、1月下旬になると新春の文字はほとんど見かけません。
テレビ番組
テレビ番組でもお正月には新春を冠した番組が増えます。
毎年恒例の番組だと以下のようなものがあります。
- 新春TV放談(NHK):2~4日あたりの深夜
- 新春鶴瓶新年会(フジテレビ):1日 今は夕方だが以前は午前中
- 新春大売り出し!さんまのまんま(関西テレビ):2日か3日の夕方
- 新春かくし芸(フジテレビ/2010年が最後の放映):1日か2日
- 新春ワイド時代劇(テレビ東京/2016年が最後の放映):2日
具体的にどのくらい「新春」が使われているのか?
2019年のラテ欄から番組名に新春が付くものを数えてみました。
参考 テレビ番組表の記録
やはり三が日が飛び抜けて多いですね。
松の内をすぎるとガクンと数が減ります。
テレビでの新春の使われ方も大体イメージ通りでした。
1月中旬にいくつかあるのは、レギュラー番組が新春スペシャルと銘打つものがあるため。
2月にポツポツあるのは、再放送やドラマ内の季節タイトル(連続テレビ小説 あさが来た「新春、恋心のゆくえ」)でイレギュラーなものと言えます。
新春公演
寄席や歌舞伎の新春公演だと1月下旬に催されるものもあります。
それでも2月開催のものはほとんどありません。
新春浅草歌舞伎
2017年1月2日(月)~26日(木)
2018年1月2日(火)~26日(金)
2019年1月2日(水)~26日(土)
2020年1月2日(木)~1月26日(日)
新春文楽公演
2018年1月3日(水)~25日(木)
2019年1月3日(木)~25日(金)
2020年1月3日(金)~26日(日)
新春シャンソンショー
2017年1月29日(日)
2018年1月29日(月)
2019年1月29日(火)
2020年1月28日(火)
「新春の候」はいつまで使える?
手紙で使う時候の挨拶にも新春付きのものがあります。
- 新春の候(しんしゅんのこう)
- 新春のみぎり
- 新春の折
これらは1月に使える時候の挨拶です。
ただ、現実には1月上旬に使うのがふさわしいでしょう。
もちろん年賀状に使ってもOK。
正月気分が抜けた1月下旬に手紙が届くと、少し違和感があります。
まとめ
- 新春は正月とほぼ同義
- 三が日から松の内まで使うのが一般的
- 1月中ならギリギリ使用OK
- 2月には使わない
新春という文字面からつい2月3月にまで使いたくなります。
けれど意味を考えると明らかな間違いです。
うっかり季節外れな使用法にならないよう気をつけてくださいね。