物件を探しているとよく目にする敷金や礼金の文字。
その金額も家賃の○ヶ月分だったりゼロだったりと地域や物件によって大きく違います。
そもそも何のお金なの?
敷金と礼金って何が違う?
どのタイミングで支払うの?
支払う側としては大金を用意しなければいけないので重要ですよね。
そこで今回は引越し時に発生する敷金について解説します。
敷金は最初に払うデポジットと考えよう
突然ですがあなたは交通系のICカードを使っていますか?
地方によって違いますがSUICAやPASMOが有名ですよね。
このカードを使い始めるときにデポジットを払います。
500円という設定が多いのでカード代と勘違いしている方もいますが、ICカードは買ったわけではなくあくまでレンタル扱い。
カードを使わなくなったときに返却すると500円が戻ってくる仕組みになっています。
物件を借りるときに払う敷金もこれと同じと考えましょう。
物件の契約時に設定されている敷金を払います。
退去するときにはそのお金が戻ってきます。
ただし、退去時に汚れの除去や破損個所の修繕費としてこの敷金が当てられます。
敷金からその修繕費を引いた残りの金額が手元に返ってくるのです。
また、家賃を払わずにいた場合も敷金から未払い分が引かれます。
要は大家が損害をかぶらないための保証金の一種です。
地域によりますが、敷金は家賃1~3ヶ月くらいに価格設定されていることが多いですね。
もちろん、物件によっては敷金ゼロの場合もあります。
敷金ゼロはお得?
敷金ゼロはたしかに魅力的です。
引っ越しにもお金がかかりますし、初期費用はできるだけ抑えたいというその気持ちはわかります。
ですが、修繕にかかるお金を預けないまま借りるということになるので、退去時に発生したクリーニング代などは実費をそのまま払うことになります。
しかも大家からすれば家賃や修繕費を取りそこねるリスクがあります。
そのぶんは家賃に上乗せされて高めの設定にされていることも少なくありません。
これだと本来もどってくる敷金を分割掛け捨てで支払っているという見方もできますね。
また、環境の悪さから借り手がつかずにやむを得ず敷金ゼロにしていることもあります。
こうしてみると敷金ゼロは決していいことばかりではありません。
すぐ飛びつかずに不動産屋に「どうしてここは敷金が要らないんですか?」と尋ねてみたほうが安心かもしれませんよ。
礼金とは?
敷金に似た言葉に礼金があります。
これは文字通り大家さんにお礼として支払うお金のことです。
家賃の1~3ヶ月ぶんが設定されています。
敷金とごっちゃにされることが多い礼金ですが、退去時に返金されないのが一番の違いです。
礼金は貸してくれる部屋が今よりも少なかった昔の名残です。
「部屋を貸してくれてとても助かります。大家さんありがとうございます」という意味を持っているのが礼金です。
もとは借りる側が祝儀のように自発的に出していたものなんですね。
今では賃貸物件もたくさんあるので本来の意味は薄れてしまっています。
個人的には意味がないならやめればいいのにと思いますが、大家にとっては大きな収入源なのでなくならないんでしょうね。
ちなみに敷金同様、礼金ゼロ円の物件も増えてきています。
ウィークリーマンションなんかがその典型です。
ただし家賃はその分高額に設定されています。
仲介手数料も大きな出費
仲介手数料も引越しの初期費用としては無視できない金額です。
借主からすると敷金・礼金を大家に払ってさらに仲介手数料まで……そう考えてしまいますよね。
しかし仲介手数料は不動産屋(仲介業者)に支払うものなので別に考えなくてはいけません。
家賃の0.5~1ヶ月ぶんが仲介手数料の相場です。
法律で上限が決められているので最高でも1ヶ月ぶんまで。
ただし、敷金礼金と違い消費税がかかります。
仲介手数料は必ずしも借主が支払うとは限りません。
仲介してもらっているのは大家も同じですから、大家が支払っても問題ないのです。
そのため最近は仲介手数料が低かったり無しの物件も増えています。
実際は無しではなく大家が負担しているわけです。
しかし大家にしても入居のハードルを下げて早く借主を見つけられるというメリットがあります。
敷金はいつ払うの?
敷金は申し込み審査に通って契約書に判を押すタイミングで支払います。
この時に礼金・家賃・仲介手数料も支払います。
■契約時の支払い例(家賃10万円)
敷金:20万円
礼金:20万円
仲介手数料:54000円(消費税あり)
家賃:15万円(翌月分と当月ぶん日割り)
基本的に住居用の家賃に消費税はかかりません。
敷金礼金も同様です。
仲介手数料・各種保険代・駐車場代・鍵交換費用などには消費税がかかります。
契約前に前金を求められるケースもあります。
申込金や手付金、預り金と呼ばれることもあります。
本来はキャンセル時に返金されなければいけない性質のお金ですが、業者によって前金の扱いは様々です。
トラブルのもとなので東京都では前金を払わせないように業者に指導しています。
仮に支払う場合は、本契約と同じ気持ちで支払うのがいいでしょう。
まだ物件も見ないうちから前金を入れてはいけません。
まとめ
人生のうちで何度も経験するものにはわからない言葉や初めて出会うシステムがいろいろありますよね。
引っ越しにまつわるお金もその1つ。
しかも今とは住宅事情がぜんぜん違う時代の習慣を、そのまま引きずっているのでよりわかりにくいです。
しかし情報化社会によって賃貸もグレーな支払いは減ってきています。
それぞれの意味を理解して納得がいく素敵な物件を探してくださいね。