ある日、エアコンの送風口から何か黒いものが出てきました。
すすのような粉のような…。
謎の黒い汚れが部屋に降り注ぐのは気分のいいものではありません。
この黒い物体の正体は何なのでしょう?
エアコンから出る異物の原因とその掃除方法・予防について解説します。
黒いすすの正体
落ちてきた黒い汚れは何なのか。
その形によって以下の物ではないかと推測できます。
すす状のもの:内部の埃や油汚れ塊が剥がれたもの
ふぞろいの粒状:内部に発生したカビの塊
同じ大きさの丸い粒:ゴキブリのフン
どれも気持ちのいいものではありませんね。
中でも本命の汚れはカビです。
室内の湿気を取り除くエアコンにカビが生えやすいのは宿命みたいなもの。
黒い異物が出てきたら8割方カビだと思って間違いないでしょう。
もちろんカビだけでなく、他の汚れが同時に飛び出している可能性もあります。
いずれにしても送風口から出てくるということは、エアコン内部が汚れているということです。
放置すれば次々と落ちてくる汚れが部屋中に飛び散ってしまいます。
これでは大げさでなくホントに病原菌シャワーを浴びているようなもの。
すぐにエアコンを停止して対策する必要があります。
エアコンお掃除方法
エアコンは大きく5つのパーツに分けられます。
外カバー・電子回路・フィルター・フィン・ファン。
電子回路はクリーニングできませんし、外カバーの掃除は埃取りと水拭きするだけなので難しいことはありません。
ここでは空気が通るフィルター・フィン・ファンの3つの掃除方法を説明します。
フィルター
エアコン本体正面にある吸込口のフィルター。
もっとも埃がたまりやすい部分ですが、手入れも一番簡単です。
掃除すること前提に作られているのでたやすく取り外すことができます。
ここだけはまめに掃除している方も多いのではないでしょうか?
掃除機で埃を吸い込むだけでなく、1シーズンに一度は丸洗いしましょう。
ただ、エアコンから異物が出てくる状態だとフィルター掃除だけではまず改善しません。
どちらかと言えばそうなる以前の予防のためのお手入れですね。
フィルターに汚れがたまると、エアコン性能ががくんと落ちて内部にもカビが生えやすくなります。
ちなみに自動おそうじ機能が付いていても、キレイにしてくれるのはこのフィルター部分だけです。
冷却フィン
フィルターの下にある細いアルミ部分が冷却フィンです。
このアルミは室外機とつながっていて温度が変化します。
アルミの温度で吸い込んだ空気を冷やしたり暖めたりするわけですね。
ここはフィルターを抜けた細かい埃や結露によるカビで汚れやすいです。
掃除機の細いノズルで吸引、または柔らかいブラシで汚れを落としてお手入れします。
アルミは変形しやすいので物足りないくらい優しく掃除してください。
フィンのお手入れは難易度が高いので、素人ではこのくらいにとどめておいたほうがいいです。
★スプレー使用はメーカー非推奨
冷却フィンにかけるだけの簡単なお掃除スプレーも販売されています。
ただ、このスプレーの使用はエアコンメーカーでは勧めていません。
理由の一つは機械の故障につながるため。
右横にある電子機器に液体が触れると、高確率で故障してしまいます。
もう一つは、汚れが奥に入り込んで固まってしまう可能性が高いからです。
水やスチームで汚れを洗い流すならわかります。
ですが、スプレーしただけでOKなら落ちた汚れはどこに行くのでしょう?
一見キレイになったようでも、汚れが内部に入り込んで固まって出てこなくなっているだけでは。
そしてエアコンを動かすと固まった汚れが少しずつ部屋に降り注ぐ……というわけです。
送風ファン
冷却フィンの裏側、送風口から見上げると奥にあるのが送風用のファンです。
フィルター・フィンを抜けた汚れがここにたまります。
エアコンから黒い異物が出てくるのは、このファンが汚れている可能性が高いです。
ファンそのものを取り出すことはできません。
なので、お手入れは専用の洗浄剤を直接かけて行います。
■専用洗剤での掃除手順
- コンセントを抜く。
- ビニールで養生する。
- 送風口からスプレー。
- 棒でファンをまわしてなじませる。
- 40分放置する。
- すすぎスプレーをかけて泡を落とす。
- コンセントを入れる。
- エアコンをビニールで包んで送風で残り汚れを出す。
手間はかかりますが作業そのものは単純です。
ゆっくりやれば誰でもできる内容です。
ただ、スプレーだけの掃除なのでこれに100点のクリーンさを求めるのは期待しすぎでしょうね。
パーフェクトに汚れを落とすのは水で洗い流さないと難しいと思います。
70点くらいの汚れ落ちなら期待できそうです。
急ぎの人、クリーニング代を節約したい人、業者を部屋に入れたくない人用と言えそうです。
室外機と黒いすすは無関係?
外の埃が室外機から流れ込んでエアコンから出ているのでは?
つい想像しがちですがその可能性はありません。
エアコンと室外機は熱交換だけで空気の循環はしていないからです。
外と室内の埃がエアコンを通して出入りすることは構造上起こらないんです。
室外機について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
プロに依頼
エアコン内部の汚れを完全に落とすには、分解してスチームや水洗いまでやる必要があります。
故障リスクや部屋の汚れを考えると、素人にはハードルの高い作業です。
専門業者に依頼すると料金は10000円を越えるくらい。
自動おそうじ付きエアコンは割高で20000円近くかかると思います。
痛い出費ですが、黒いすすが出る状態ならやはりプロに頼んだほうがいいと思います。
内部汚れを防ぐには?
ここからはクリーニング後(または新品)のエアコンを、少しでも長くきれいに使うポイントについて。
空気を吸い込み静電気で埃も寄せ付けるので、エアコンが汚れていくのはある意味当たり前です。
それでもひと工夫で内部汚れを付きにくくすることはできます。
換気扇を掃除
部屋の空気が汚いほどエアコンの汚れも早くなります。
そこで、見逃せないのがキッチンの換気扇汚れです。
換気扇が汚れていると料理の湯気がうまく外に出せません。
立ち上った湯気には油がたっぷり含まれています。
古い中華屋さんなんかで、換気扇の汚れが限界を超えて椅子までベタついている時ありますよね?
部屋に充満した湯気はリビングのエアコンに吸い込まれていきます。
エアコン内部に油が付着するとそこにカビが生えやすくなってしまうんです。
遠回りのようですが、換気扇をキレイにすることはエアコンのカビ防止にもつながります。
内部クリーン機能を使う
エアコンについている内部クリーン機能をうまく使いましょう。
内部クリーンはドライ運転でエアコン内を乾燥させることでカビの発生を防ぎます。
クリーンといっても殺菌効果はないので、付いたカビを取り除くことはできません。
なので、これからエアコンを使う時に内部クリーンを起動するのはほとんど意味がないんです。
内部クリーンを使うベストなタイミングは冷房を止めた直後です。
空気から水分を取り除くことで温度を下げるので、停止直後は結露が残りやすくなっています。
そこで使うことで結露を防止、カビが繁殖するのを抑える効果があります。
内部クリーンが自動起動しない機種は、冷房を止めた後に手動でかけましょう。
送風を内部クリーン代わりに
内部クリーン機能がない場合は、送風で中を乾燥させることができます。
冷房を止めたら10分ほど送風を使うだけです。
冷房が止まるので室内はベタつきますが、結露はちゃんと飛ばせているので安心してください。
なんとなく送風ではなく、除湿を使ったほうが乾燥させられるような気がします。
しかしこれは勘違いです。
除湿は部屋の水分を集めてホースで外に排出します。
だから除湿を停止した時には冷房と同じように内部に水が残りやすいのです。
まとめ
- 黒いすすは内部のカビ汚れが剥がれ落ちたもの。
- 汚れは送風ファンに溜まっている可能性が高い。
- ファン掃除は難しい。プロに頼んだほうが無難。
- 冷房停止の後に乾燥させることでカビ予防。
エアコンの中なんて普段チェックしないので、汚れに気づきにくいんですよね。
できるだけセルフ手入れをこまめにしてカビを防止してください。
ただし、黒いものが飛んでくるようなら諦めて本格クリーニングするしかありません。