梅雨の不安定な空模様にはうんざりさせられますね。
ジメジメした天気が続くと梅雨明けが待ち遠しいです。
ところがいつまでたっても梅雨明けのニュースが流れない…。
ハッキリとした梅雨明けがないまま夏を迎えてしまう年もあります。
なんだかスッキリしませんよね?
どうして梅雨明け宣言がない年があるのかを解説します。
梅雨の定義とは?
梅雨は、春から夏に移行する過程で、その前後の時期と比べて雨が多くなり、日照が少なくなる季節現象です。梅雨の入り明けには、平均的に5日間程度の「移り変わり」の期間があります。
引用 気象庁
気象庁のサイトに、『梅雨』の説明があります。
雨が多かったら梅雨……。
これを見ると、私たちのイメージよりもぼんやりと梅雨が決められているんだなと思いませんか?
きっぱり『降水量○ミリの日が△日続いたら、梅雨!その後×日間晴れの日が続いたら、梅雨明け!』と明確に定義できるものではないようです。
梅雨明けを断言できない理由
梅雨は国民生活に大きな影響があります。
雨が降る降らないによって売れる物やサービスが大きく違いますし、農業を営んでいれば天候は死活問題でしょう。
雨天による事故の増加も考えられます。
その影響の大きさのため、気象庁から「梅雨入り」と「梅雨明け」が発表されます。
ただ、天気予報やニュースに注目すると「梅雨入りした模様です」「梅雨明けしたとみられます」というあいまいな表現が目に付きますね。
「梅雨明け宣言」という強い言い方は今ではかなり少なくなっています。
そもそも「宣言」という言い方はマスコミが生み出した言葉で、気象庁から「梅雨入り・梅雨明け宣言」が出されたことは過去ありません。
気象庁では「お知らせ」というニュアンスで発表されたのに、新聞上で「宣言」と書かれたのが定着してしまったようです。
「梅雨明け宣言」という言葉がキャッチーすぎて、私たちの頭に残ってしまっていたんですね。
梅雨の予報の難しさ
梅雨時期の天気予報がかなり外れやすいのと同じで、梅雨の入り明けを判断するのも非常に難易度が高いです。
そのため気象庁の「お知らせ」はどうしてもあいまいな表現になってしまいます。
数日後に振り返って「○日が梅雨入りだった」という発表や、「○日に梅雨明けしていました」という後出しのお知らせもあります。
このような予想や近況の「お知らせ」は梅雨入り明けの速報値と呼ばれるものです。
梅雨が明けてだいぶ経ってから、確定値という「正確なデータとして残す梅雨時期」が決められます。
春からの天気の移り変わりなど全体を見て、結果的に梅雨の入り明けはここだったなと検証されるわけです。
一度出された速報が、後の確定値で訂正されることも少なくありません。
それどころか、ぐずついた天気が秋まで続いていつ梅雨明けだったのか結論が出なかった年すらあるのです。
梅雨明けが迷走した年
※左の日付が梅雨入り、右が梅雨明け(確定値)
引用 気象庁ホームページ
これは気象庁が出した、関東甲信の梅雨入り梅雨明け確定値です。
ご覧の通り、1993年は梅雨明け時期が書かれていません。
この年は一度梅雨明けが発表されたものの、8月になってもぐずつく天気が続いたので後から取り消し。確定値も特定できないという異常気象の年でした。
記録的な冷夏が原因で、深刻な米不足になった年として覚えている方も多いのではないでしょうか?
もう一つ注目したい年が2001年です。
この年は7月1日と異常に早い梅雨明けが明記されています。
当初は7/10以降の梅雨明け発表だったのが、後の確定値で大幅な繰り上げがされた年でした。
梅雨入り梅雨明けをはっきり明言することの難しさがわかる出来事ですよね。
この2001年を転機に、テレビや新聞でも梅雨明け宣言という言葉がめっきり使われなくなりました。
まとめ
★梅雨明けなしの理由
・梅雨の定義は結構あいまい
・梅雨明け宣言はマスコミの造語
・2001年以降あまり梅雨明け宣言は使われていない
・梅雨時期の天気予報は高難度
・梅雨明けが確定できるのは9月以降
・振り返っても梅雨時期を確定できない年がある
いくら技術が発達してもどうにもできない場面がたくさんあります。
梅雨時期の確定もその1つと言えますね。
自然の気まぐれは科学の粋を集めた公共機関でも予想しきれません。
梅雨明け発表後に降られても、仕方ないなと広い心で受け入れましょう。