7月7日は七夕です。
幼いころから慣れ親しんだ習慣ですが、具体的に何をすればいいのかと聞かれるとピンとこない人も多いのではないでしょうか。
七夕はひな祭りやお正月のようにザ・お祝い!という行事でもないので、ふわっとした認識のまま過ごしてきちゃうんですよね。
せっかくなら子供には伝統の正しい七夕を伝えていきたいものです。
そこで今回は七夕にするべきこととその由来をセットで紹介します。
子供にわかりやすい易しい言葉の説明も加えてあります。
ぜひ今年の七夕に参考にしてくださいね。
七夕の正確なお話をしてあげよう
七夕の歴史はとても古いです。
その原型は大昔の中国、紀元前200年ごろの漢王朝時代に生まれたと言われています。
この頃は現在の七夕らしい要素は全くなし。
そこから数百年の時を経て各地の文化が加わりながら、7月7日・織姫・彦星・天の川と私たちが知る七夕らしくなってきます。
七夕が日本にに伝わってきたのは奈良時代です。
そこから日本の文化とも融合していき、江戸時代になってようやく笹に短冊を飾る現在の七夕習慣が根付きました。
なので、七夕に短冊を飾るのは日本だけ。
アジア各国に七夕はありますが、国ごとに風習はかなり違いますよ。
小さな子に七夕の歴史全部を話すとわかりにくいです。
やはりわかりやすい織姫と彦星のストーリーにしぼって話してあげるといいでしょう。
夜空に輝く天の川のほとりに、星の神様の娘「織姫」が住んでいました。
織姫ははたを織るのがとても上手です。
織姫の作る布はキラキラ美しくてみんなに大人気。
星の神様もピカピカの服を作ってもらってうれしそうです。
働き者でやさしい織姫をとてもかわいがっていました。
けれど、織姫はいつもはたを織ってばかりです。
「織姫のために立派な結婚相手を探してやろう」
心配した星の神様は織姫のためにおむこさんを連れてきます。
おむこさんは、天の川の岸辺で牛の世話をしていた「彦星」です。
とても働き者の若者で、織姫も気に入ったので2人は結婚しました。
2人はたいそう仲のいい夫婦になり、いつも一緒にいました。
ところが仲が良すぎて2人とも全然働かなくなってしまったのです。
織姫のはた織り機はホコリまみれ。
彦星の牛もほったらかしにされてすっかり痩せてしまいました。
「2人ともそろそろ仕事をしなさい」
見かねた星の神様にしかられても織姫・彦星は知らんぷりです。
お仕事よりも2人で遊んでいたほうが楽しいからです。
とうとう彦星の牛は病気になってしまいます。
織姫がはたを織らないので、みんなの服も星の神様の服もボロボロになってしまいました。
「遊んでばかりのお前たち2人は会ってはいかん」
ついに星の神様の怒りが爆発しました。
織姫を天の川の西へ、彦星を東にはなればなれにしてしまったのです。
天の川はとても広くて、相手の顔も見えず声も聞こえません。
シクシクと泣く2人に星の神様が言いました。
「前のように真面目に働くなら年に一度、7月7日だけ会ってもいいぞ」
それを聞いた織姫と彦星は、昔のように一生懸命働きます。
織姫の作る美しい布はみんなに喜ばれ、彦星が世話している牛も元気になりました。
こうして毎年7月7日に、織姫と彦星は天の川を渡って会えることになりました。
年に一度のデートです。
ところが7月7日に雨が降ると川が水であふれて渡ることができません。
2人が困っていると、カササギという鳥の群れが飛んできて天の川を渡す橋になってくれました。
織姫と彦星のために、星の神様がカササギを呼んでくれたのです。
おかげで雨が降っても2人は会うことができたのでした。
めでたしめでたし。
催涙雨と洗車雨
7月7日に降る雨のことを催涙雨(さいるいう)といいます。
会えない2人が流す悲しみの涙という説と、出会えて喜ぶうれし涙という2つの説があります。
カササギがいるのでたぶんうれし涙ですよね。
前日の7月6日に降る雨を洗車雨(せんしゃう)といいます。
デートを翌日に控えた彦星が牛車を洗っている水が落ちてきているそうな。
千年経っても色恋の行動パターンはあまり変わらないですね。
笹を飾ろう
私も子供の頃には、幼稚園でもらってきた笹を玄関に飾ってもらいました。
小学校でもあったかも?
行事で使った大きな笹を分けてくれるんですよね。
こういう小道具があるのと無いのとでは、思い出の残りやすさが違います。
小さなものでいいのでぜひ飾りたいですね。
家庭用に使いやすい造花の笹も販売されていますよ。
★笹を飾る理由
笹は風に吹かれると葉がこすれ合ってさわさわと音がします。
この音が神様を招くとされています。
また、まっすぐ天に伸びる笹は神が宿る依代(よりしろ)になると考えられてきました。
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神様は笹のサラサラという音が大好き。
空から神様が来やすいように背の高い笹を飾るよ。
笹と竹は違う?
笹と竹ってごっちゃになりますよね?
同じ植物のような違うような…。
植物学での分類はどちらもイネ科タケ亜科という同じカテゴリーに入ります。
しかし笹と竹は別物です。
私たちがイメージする太い竹は孟宗竹といいます。
立派なタケノコが採れたり、緑の茎をケース代わりにできるアレですね。
孟宗竹は江戸時代に日本に入ってきた竹の外来種です。
成長につれて外皮がはがれるので茎がツルツルなのが特徴です。
笹は日本に昔からある植物で、竹よりも細くてしなやかです。
成長しても皮がはがれず重なっていくので茎はガザガザしています。
笹竹とも呼ばれてきて、孟宗竹が来る前に日本で竹といえば笹竹のことでした。
竹取物語でおじいさんが切っていたのも笹竹ですよ。
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かぐや姫が生まれたのも笹の木からだよ。
すごく小さかったんだね。
短冊に願いを書こう
笹には色とりどりの短冊が飾られます。
童謡『たなばたさま』にも「五しきのたんざく」という歌詞が出てきますよね。
この5色にもちゃんと意味があるんですよ。
青の短冊:「仁」の心。
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青はやさしくて立派な人になれる色だよ。
苦手なことや大変なことができるようにお願いしよう。
お手伝いができるようなりますように。
ニンジンが食べれるようになりますように。
赤の短冊:「礼」の心。
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赤は大人へのありがとうの色だよ。
両親や先生の元気をお願いするといいね。
お父さんお母さんが元気でいますように。
家族みんながなかよく暮らせますように。
黄の短冊:「信」の心。
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黄色は友だちと仲よくなる色だよ。
友だち100人できますように。
みんなとうまくお話できますように。
◯◯ちゃんと仲直りできますように。
白の短冊:「義」の心。
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白は決まりや約束を守る色だよ。
学校に遅れませんように。
先生の言うことをよく聞けますように。
黒(紫)の短冊:「智」の心。
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黒は勉強や習い事の色だよ。
黒だと見えにくいから紫を使ってもいいんだ。
テストで100点が取れますように。
ピアノがうまくなりますように。
ホームランがいっぱい打てますように。
笹に飾り付けをしよう
笹には短冊の他にもたくさん飾り付けします。
ほとんどの飾りは折り紙だけで作れます。
手作りの笹飾りで七夕を迎えましょう。
さらにそれぞれ飾りの意味を知っていると作りがいがありますよ。
織姫・彦星
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七夕の主役の2人だよ。
せっかくの七夕だからペアで作ってあげよう。
吹き流し
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吹き流しのヒラヒラははた織りの糸なんだ。
織姫のようにお裁縫が上手になるように飾るよ。
紙衣
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織姫の作った服だよ。
紙衣は悪い出来事からボクたちを守ってくれるんだ。
帯は他の色の折り紙でもできるよ。
ちょっとむずかしいからお母さんと一緒に作ってみよう。
菱飾り
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菱飾りは星いっぱいの天の川を表しているんだ。
切れないように気をつけて長いのを作ってね。
星
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天の川の周りには星も飾ろう。
折り紙一枚で作れるよ。
提灯
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ちょうちんは短冊を照らす明かりだよ。
夜空からくる神様が見やすくなってお願いがかないやすくなるんだ。
鶴
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鶴はとても長生きなので、みんなも元気にするよ。
たくさんの色の鶴で飾ろう。
網
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これはお魚をとる投げ網だよ。
天の川ではどんなお魚がとれるのかな?
くずかご
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網と同じ作り方でくずかごも作れるよ。
物を大切にしようという昔の人の心がこもっているんだ。
輪飾り
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輪っか一つ一つがみんなの夢だよ。
夢がつながって叶うようにとお願いするんだ。
巾着
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巾着は昔のお財布だよ。
飾るとお小遣いが貯まるようになるかもしれないね。
七夕の歌をうたおう
七夕にちなんだ曲で伝統に触れるのもいいですね。
子供の頃に歌った童謡は大人になってもしっかり覚えています。
楽しい歌は思い出に残りやすいですよ。
七夕の歌はこちらでまとめてあります。
![](https://narunote.net/wp-content/uploads/2019/04/789207-1-160x90.jpg)
そうめんを食べよう
意外に知られていませんが、七夕にはそうめんを食べる習わしがあります。
その起源は古く、古代中国にさかのぼります。
時の帝の子供が若くして亡くなってしまいました。
その子供が悪霊となって国中で熱病が流行ります。
そこで子供の命日7月7日に、好物だった索餅(そうめんの原型)をお供えすることでたたりを鎮めました。
ここから七夕にそうめんを食べるようになったと言われています。
その他にも
そうめんが天の川に似ているから
織姫のはた織りの糸に似ているから
という説もあります。
子供にはこちらの説のほうが伝えやすいですね。
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七夕の日のご飯はそうめんだよ。
天の川みたいでしょ。
ニンジンやハムの星ものせちゃうよ。
星を見よう
やはり七夕のストーリーに直に触れるには、星を見るのが一番です。
七夕にまつわる星は夏の大三角形で見ることができます。
七夕の夜にはぜひ外に出て星空を眺めましょう。
と言いたいところですが、7月7日だと夏の大三角形が見えるか見えないか微妙な時期です。
よく見えるのは旧暦の七夕の時期(8月上旬)の夜8時以降ですね。
7/7に見えにくかったら、少し時期をずらして教えてあげるといいかもしれません。
夏の大三角形は東に見えるので、太陽の昇る方角を探しましょう。
ちょっとした双眼鏡があると見やすいです。
ひときわ光の強い星が3つで三角を描いています。
こと座をかたどるベガが織姫。
3つの中で一番明るく見つけやすい星です。
わし座のアルタイルが彦星です。
天の川の対岸にいますね。
はくちょう座のデネブは鳥の尾の部分の星です。
鳥はちょうど天の川の上を飛んでいます。
このことからデネブはカササギの元になったと言われています。
プラネタリウムに行くのもあり
星の見えにくい天候ならプラネタリウムに行くのはいかがでしょう?
昼でも見れるのは小さな子にはいいですよね。
星にちなんだ行事だけに、七夕ならではのプログラムがあるプラネタリウムも多いですよ。
夏休みの自由研究へも応用が利くかもしれませんね。
笹飾りをお片付けしよう
クリスマスやお正月の飾りと違って、七夕飾りは期間が短いです。
7月6日に飾って7月7日の夜には片付ける一夜飾りが基本になります。
お願い事を書いた短冊をいつまでも残しておくのは良くないんです。
とはいえせっかく作った笹飾りをたった一日で処分するとがっかりしてしまいますよね。
正直そこまですぐに片付けなくてもいいと思います。
各地の七夕まつりだって一週間くらいは開催していますからね。
数日飾ってから片付けましょう。
![](https://narunote.net/wp-content/uploads/2019/04/5895f6ecb1b5c07f43589275ff9ef345.jpg)
笹飾りをお片付けすると短冊が天に昇っていくんだ。
お願いごとがかないやすくなるよ
七夕飾りの片付け方についてはこちらをご覧ください。
![](https://narunote.net/wp-content/uploads/2019/04/2d93e60b636ed110bc5095467d6b470f_s-min-160x90.jpg)
まとめ
★七夕にすること
- 織姫と彦星のお話をする
- 笹を飾る
- 短冊にお願いごとを書く
- 笹飾りを作る
- そうめんを食べる
- 夏の大三角形を見る
- 笹飾りを片付ける
いろいろな説がまとまって今の七夕のスタイルになりました。
なので小さな子にひとことで教えるのは少し難しいかも。
笹を飾ったり素麺を食べたりしながら「こんなお話があるのよ、それから…」と小分けに話してあげるといいですよ。