豆まきは節分に行う日本に昔から伝わる風習です。
邪気を払う力がある豆をまくことで鬼を追い払います。
ところが、豆まきの習慣がない家があるのをご存知でしょうか?
なんでも、表札を見ただけで鬼たちは恐れて近づけないので豆まきをする必要がないんだとか…。
鬼がそこまでビビるなんて一体どんな理由なんでしょう?
ここでは節分で豆まきをしない苗字について解説します。
鬼は渡辺さんが怖い?
クラスに1人はいそうな渡辺という苗字。
この渡辺さんのお宅では節分に豆をまく必要がありません。
「鬼は外!」なんて言わなくても、鬼の方から寄ってこないんです。
なぜかと言うと、「渡辺さんが強いから」です。
★渡辺綱
平安時代の中期に源頼光という武将がいました。
源頼光には頼光四天王と呼ばれる腕利きの配下がいました。
その四天王の一人が渡辺綱(わたなべのつな)という武将です。
頼光と綱を含む四天王は、京都の大江山に巣食う酒天童子という怪力で凶悪な鬼を退治しました。
さらに渡辺綱は、京都で悪さをしていた鬼の腕を一条戻り橋の上でばさっと切り落としたのです。
つまりメチャメチャ鬼に強い武士だったわけですね。
それ以降、鬼たちがワタナベという苗字を持つ人間を怖がって近づかなくなった…という伝説が誕生しました。
鬼が避けるんですから、こちらから追い出す必要もないですよね。
なので、ワタナベさんの家では豆まきをする習慣がないんです。
ところで渡辺綱が切った腕ですが、伯母の姿に化けた鬼に再び取り返されてしまいます。
この鬼が取り戻しに来た宮城県の村田町という場所では、「鬼は外」ではなく「鬼は内」という掛け声で豆まきをします。
「もう鬼を逃がさないぞ、こっちに来い!」という呼び声なんです。
鬼からするとこれも怖いですよね。
鬼は坂田さんも怖い
坂田さんも豆まきの必要がないと言われる苗字です。
こちらの話の由来は昔ばなしでおなじみの『金太郎』です。
物語のラストで、鬼を退治した金太郎は都から来ていた武士に仕えることになります。
この仕える主君が源頼光なんです。
金太郎は頼光から『坂田金時』という名前をもらって、頼光四天王に名を連ねます。
大江山の鬼退治でも当然活躍しました。
なので、坂田さんも渡辺さんと同じように鬼に恐れられているため豆まき不要なんです。
頼光四天王の他二人の苗字は?
★頼光四天王
・渡辺綱
・坂田金時
・碓井貞光
・卜部季武
頼光四天王には他に「碓井さん」と「卜部さん」がいました。
四人の中では一番年上の碓井貞光と、弓の名人だった卜部季武です。
二人も勇猛な武将でしたが、なぜか碓井さんと卜部さんが豆まきをしないというような記述は見当たりません。
強いことは強いけれど、鬼を退治することに関してはあまり活躍がなかったんでしょうか。
『鬼』が付く苗字も豆まきに違いあり
鬼塚、鬼瓦、鬼頭…『鬼』という字が含まれる苗字がありますよね。
この苗字の家でも豆まきをしないことが多いそうです。
仮にする場合でも、豆をまく掛け声に「鬼は外」は使わないみたい。
苗字についている鬼を追い出してしまうのは、縁起が悪いですからね。
まとめ
クラスメイトに渡辺さんや坂田さんがいたことは私も何回かありました。
でもこんな話は聞いたことがなかったので驚きです。
彼らも普通に豆まき行事に参加していた記憶があります。
どうやらこの逸話は、鬼が腕を取り戻した昔話が伝わっている東北地方中心に残っている言い伝えのようです。
ぜひ、まわりの渡辺さんや坂田さんに聞いてみてください。